1.哲学的探究にかせないもの
・「問答」と〈問い〉
・「問答」は、相手から情報を引き出すためでも、相手の性格やプライバシーを知るためでもなく、相手の「考え」(言葉の意味、判断、価値、前提)を理解するために質問をする
・「問い」は、単なる情報収集の手段ではなく、思考の探求そのもの。相手の考えを引き出し、言葉の意味や前提を浮き彫りにすることで、新たな理解を生み出すための起点となる。つまり、 思考を開き、対話を深める道具
問答: 「幸福とはお金の有無に関係があると思う?」→ 相手の意見を確認するための質問
問い: 「幸福を定義するには、何を考慮すべきだろう?」→ 新たな考えを生むきっかけ
問いは、問答よりも思考のプロセスを大切にする
2.哲学対話が目指すもの
・相互理解や相手への理解が深まること
・問答を通じて、考え方の違いや対立を超えて共有されているもの=対話者が、共通に持っている「前提」や、考え方が違っても共に探求することのできる〈問い〉、共通に生きている「意味」の世界があることに気づくこと、それをさらに探求していくこと
3.哲学対話や探究の進め方の例
・参加者が対話や探究に慣れている場合は、話し合いの初めにある〈問い〉(話し合うテーマ)を立て、それについて問答していく
・(それとは逆に)対話者同士がお互いに聴き合い、質問をしあうなかで、共に考えることのできる共通の〈問い〉を見出していく
「Good Thinkers Toolkit(哲学者の道具箱)」
・ハワイのこどものための哲学対話のなかで役立つ質問のセット
・R(reason)どうしてそう思うの?
・W(What does it mean?)それはどういう意味?
・T(truth)それは本当だろうか?
・E(example)例えばどういうこと?
・C(counter example)反対の場合は?
・I(Inference)もしそうなら〜だと考えてよいのか?
・A(assumption)そもそも〜とは?〜を当たり前だと考えてよいのか?
【質問について】
・西洋的な論理的思考や批判的思考のスキルとして理解されているもの
・自己正当化や他者の批判のために用いるのでも、マスターすべき思考のスキルとしてではなく、自分と他人の考え方の違いに気づき、他人や自分の考えをより理解するための関わりのガイドライン。
・丁寧に繰り返して、対話で相互理解が深まることを目指す
・相手ばかりでなく、自分と他人の考えの違いを知るが、自分と相手の考えやアプローチの違いをどちらが正しいとか間違っているという判断を下すのではなくただ知る
→ その考え方の違いの元にあるものや、自分や他人が当たり前と思っていること(前提)への気づきを促す
【ベストコメント】
【問】カレーとはなにか?
昔インド人がやってるカレー屋に入って、カレー注文したらスプーンがついてこなかったんだよ。「あ、本格的な店なんだ」とか思って、手で食ってて半分くらい食ったときにインド人の店員が奥からすげー申し訳なさそうな顔してスプーン持ってきた。
【参考】
高橋(2017)哲学対話とスピリチュアルケア, Osaka University Knowledge Archive
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