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#16 太宰治 おさん

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太宰治 おさん 毎日、毎日、暑い日が続きました。私は、暑さと、それから心配のために、食べものが喉のどをとおらぬ思いで、頬ほおの骨が目立って来て、赤ん坊にあげるおっぱいの出もほそくなり、夫も、食しょくがちっともすすまぬ様子で、眼が落ちくぼんで、ぎらぎらおそろしく光って、或ある時、ふふんとご自分をあざけり笑うような笑い方をして、 「いっそ発狂しちゃったら、気が楽だ。」  と言いました。 「あたしも、そうよ。」 「正しいひとは、苦しい筈はずが無い。つくづく僕は感心する事があるんだ。どうして、君たちは、そんなにまじめで、まっとうなんだろうね。世の中を立派に生きとおすように生れついた人と、そうでない人と、はじめからはっきり区別がついているんじゃないかしら。」 「いいえ、鈍感なんですのよ、あたしなんかは。ただ、……」 「ただ?」  夫は、本当に狂ったひとのような、へんな目つきで私の顔を見ました。私は口ごもり、ああ、言えない、具体的な事は、おそろしくて、何も言えない。 「ただね、あなたがお苦しそうだと、あたしも苦しいの。」 「なんだ、つまらない。」  と、夫は、ほっとしたように微笑ほほえんでそう言いました。  その時、ふっと私は、久方振ひさかたぶりで、涼すずしい幸福感を味わいました。(そうなんだ、夫の気持を楽にしてあげたら、私の気持も楽になるんだ。道徳も何もありやしない、気持が楽になれば、それでいいんだ。) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「文学の闇と光が交錯する、太宰治の世界へようこそ。」 ここでは、太宰治の名作を厳選し、彼の言葉の深淵と情熱を朗読を通してお届けいたします。 単なる文章の読み上げではなく、太宰治が紡いだ独特な世界観一純情な苦悩と、時にほろ苦く、皮肉すら感じさせる美しさ一を、現代に蘇らせる試みです。 あなたの心の奥深くに宿る感情に触れながら、ともに文学の旅を歩んでみませんか? この活動を通じ、朗読とともに太宰治の魅力を伝え、あなたに安らぎと共感をお届けしたいと願っています。ぜひ、お気軽にフォロー、コメント、リクエストそして感想をお寄せください。」 #朗読 #太宰治 #小説 #読書朗読 #詩の朗読 #スタエフ朗読 #昭和 #毎日配信 #スタエフ #夜ふかし #眠れない夜に #癒し
2025年6月20日
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