1.状態不安・特性不安
・状態不安…一過性の反応
・特性不安…脅威を与える様々な状況を同じように知覚し,そのような状況に対して同じように反応する傾向。比較的安定した特徴を持ったパーソナリティ特性の1つと想定される
2.不安と抑うつ症状の関係
・不安と抑うつ症状はしばしば共存し、ほとんどの場合,不安が先に起きて,抑うつ症状が続く。すなわち不安はうつ病発症の危険因子であり,特性不安が高いと,うつ病や不安障害を発症しやすくなる(Wittchen et al., 2000; Lamers et al., 2011)。
・小児期の虐待やいじめ被害が抑うつ症状に及ぼす影響に対して連鎖的な媒介作用をもつ(Deguchi et al., 2021; Masuya et al., 2023)。
・特性不安は幼少期のケアの乏しさ、反対に過保護とも関連(Shimura et al., 2017; Nakajima et al., 2022)。
・「神経症傾向」…怒りや不安,抑うつ症状などの刺激に反応しやすい傾向とされ (McCrae & John, 1992), DSM-5では,うつ病発症の重要なリスク要因と指摘(American Psychiatric Association, 2013)。
3.運動の不安への効果
・定期的な運動習慣があると不安症状の程度が軽くなる(De Moor et al 2006)
・運動が不安障害やストレス関連障害に対して治療効果がある(Stubbs et al., 2017)
・運動が状態不安と特性不安の両方を軽減することが強いエビデンスとして認められる(Physical Activity Guidelines Advisory Committee, 2018
・一回の運動でも状態不安に減少効果が認められている(Ensari et al., 2015)
・1日30分以上、数週~数十週間の運動が習慣化していると, 状態不安,特性不安共に減少効果がある(Herring et al., 2010)
・16週間の長い期間の運動プログラムが特性不安を改善するのにもっとも有効で,4~6週間の短い運動プログラムは無効(Petruzzello et al., 1991)(メタ解析)
・数~十数週間の運動プログラムは状態不安,特性不安も改善(Gordon et al., 2017)(RCT)
・American College of Sports Medicineのガイドラインに則った8週間の運動治療が特性不安を改善(Gordon et al., 2020)
4.運動のうつへの効果
・週に少なくとも150分の中等度から活発な身体活動を行うことを推奨(Physical Activity Guidelines Advisory Committee, 2018・Department of Health and Social Care, 2019など)。
・中等度の抑うつ症状の改善効果,高齢者の抑うつ症状の改善に影響(Mather et al., 2002; Sjösten & Kivelä, 2006; Klil-Drori et al., 2020)
・一般のグループでも抑うつ症状の減少,うつ病予防に期待(Choi et al., 2019)
【参考文献】
橘川応之・志村哲祥・中島一樹・井上猛(2024)運動が不安及びその関連疾患に与える影響, 不安症研究,16(1)
【ベストコメント】
脳にも動いた方が良さそうに思いますね。
#運動 #スポーツ #エクササイズ #うつ病 #うつ #不安 #不安障害 #抑うつ #カウンセリング #心理療法 #カウンセラー #臨床心理士 #公認心理師 #ライザップ #宅トレ #筋トレ #有酸素運動