子どものうつ病
1.子どものうつ病の歴史
・1980年代初頭までほとんど注目されずまれな疾患であると考えられてきた。
・DSM ‐Ⅲのような操作的診断基準が用いられるようになり、大人と同じ抑うつ症状をもつ子どもに注目されるようになった。
・すると、うつ病に関する疫学,症候学的,遺伝学的,生物学的,心理学的研究が発展するにつれて、稀でないことがわかってきた。
2.日本のこどものうつ病
・日本にも、うつ病を持つ子がいることが認識されるようになったが,大人とはやや異なる子ども特有の臨床像が見え、子ども独特の対応の必要性が明らかに。
・すなわち、発達障害の関係に注目することが必要で,そのような子どもたちをきちんと診断し,適切な治療と予防を行うことが重要であるというコンセンサスができてきた
・うつばかりでなく双極性障害についても注目する必要がある。
3.大うつ病性障害(Major Depressive Disorder: MDD)の診断基準
以下の中から5つ以上を満たし、必ず抑うつ気分または興味・喜びの喪失を含む必要があります抑うつ気分(悲しさや空虚感、絶望感など)。
1. ほとんどの活動に対する興味や喜びの著しい減退。
2. 体重変化または食欲の変化。
3. 不眠または過眠。
4. 精神運動性の焦燥や制止(落ち着きがない、動作が鈍い)。
5. 疲労感や気力の低下。
6. 無価値感や過剰な罪責感。
7. 思考力の低下や集中困難、決断困難。
8. 自殺念慮や自殺行動、死への執着。
これらの症状が二週間以上続き、社会生活や仕事、対人関係に重大な影響を及ぼしていること、他の身体的・精神的疾患が原因でないこと
4.子どものうつ病の有病率
・Jane Costello(2006)らの研究では有病率児童期は2.8%, 青年期は 5.6%
・Hasinらの疫学調査(2005)…大うつ病性障害の有病率は 12歳から急激に増加し,15歳では成人とほぼ同じ。
5.子どもと青年期のうつ病の違い
【児童期】
・青年期と比べてADHD,素行障害などが併存することが多い
・有病率はきわめて低い
・男子優位 (もしくは性差なし)
・家族機能の障害(虐待など)とより強く関連する
・成人のうつ病へ移行する可能性が少ない
【青年期】
・他の精神障害との併存が少ない
・有病率は成人のそれに近い
・女性優位
・家族機能の障害との関連が少ない
・児童期発症のうつ病よりも遺伝的な要因が強い
・成人のうつ病へ移行する可能性が高い
このようなことから児童期のうつ病は青年期以降のうつ病とは異なる疾患単位である可能性が指摘されている
【参考文献】
傳田健三(2013)子どものうつ病-発達障害の視点から一,心身医Vol,53 No.1
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