この番組は映画をこよなく愛する、田村淳の大人の小学校「シネマ語り部」部長が他愛もない映画話を音楽的視点からゆる〜く語る番組です。
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第29作目はトラン・アン・ユン監督の『ポトフ 美食家と料理人』(2023年)
美食は愛の言葉になり得るのか――。
『ポトフ 美食家と料理人』は、そんな問いに優しく、しかし深く答えてくれる珠玉の作品です。
1885年のフランスを舞台に、料理人とその雇い主の美食家との恋愛を描きます。
スイスの作家マルセル・ルーフの小説を原案としていますが、小説のストーリーではなく料理について語る部分を取り入れて描かれています。
第76回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。
第96回アカデミー賞国際長編映画賞にはフランス代表作として出品され、最終選考15作品に残りました。
主演はジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル。
元パートナーである二人が年月を経ての共演が話題を呼びました。
ジュリエット・ビノシュの美しさがぞんぶんに堪能できる作品です!
年齢を重ねてさらにつややかに深みを増していく演技は圧巻です。
料理は記憶であり、愛であり、人生そのもの――
ラストシーンでドダンがウージェニーのために作るポトフには、彼の人生のすべてが詰まっていました。
食を愛するすべての人に捧げたい一作。
静かに胸を打ち、そして観終えたあと、きっと誰かのために何かを作りたくなる。
そんな映画体験を、あなたにも。
ぜひご覧いただきたい作品です。
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〈あらすじ〉
料理界のナポレオンと評される美食家ドダンと、ドダンが閃いたメニューを完璧に再現する料理人ウージェニー。
二人が生み出した極上の料理は人々を驚かせ、その名声はヨーロッパ各国にまで広がっていた。
ある時、ユーラシア皇太子から晩餐会に招待されたドダンは、豪華なだけで論理もテーマもない大量の料理にうんざりする。
お返しとして皇太子を招く食事会のメニューに食の神髄を示すため最もシンプルな家庭料理である「ポトフ」で皇太子をもてなそうと考えた。
だが、そんな中、ウージェニーが倒れてしまう。
ドダンは人生で初めて、すべて自分の手で作る料理で、愛するウージェニーを元気づけようと決意するのだが……
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