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心理療法のエビデンス、その「落とし穴」とは?RCTの課題(後編)

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1.統計的有意差と臨床的有意差が異なる ・RCTの効果検証には、参加者を統制群と実験群に振り分け、介入の前後で標準化された質問紙尺度の得点の差を統計的に判定する方法が一般的だが、有効性があると判定するために用いられる「統計的有意差(statistical significance)」は、「臨床的有意差 (clinical significance)」とは異なる。 例)毎日タバコを40本吸う喫煙者が、何らかの介入で1日38本に減らすことができた場合、 臨床的には(経済的にも健康面でも)有意な改善とは言えないが、サンプルサイズが大きくなると統計的に有意差が出ることになる(O’Donohue & Ferguson, 2006)。 ・タバコの本数を質問紙尺度の得点と置き換えれば心理療法の効果研究でも同じ問題がおきる ↓ 心理療法の効果検証における統計的手法への傾倒に対する危惧は「実証的に指示された方法」が提唱される前から指摘されているが現在でも解消されていない(Agras et al., 1968; Barlow, 1981など) 2.実践現場とRCTによるエビデンスの乖離 RCTによるエビデンスが成立する条件 ①研究の対象となる厳格な診断基準を満たしたごく一部の対象者に対して ②パッケージマニュアルに基づく介入を行い ③その効果を標準化された質問紙尺度得点の統計的有意差を検証すること ↓ 臨床で実践するとき… ・どのような人や疾患に対して ・パッケージのどの要素が ・どの程度有効なのか がRCTによるエビデンスからだけでは判断が難しい。 ↓ 多くの実践家がRCTによるエビデンスを必ずしも参考にせず、多様な併存症状を示す目の前の対象者の言語報告と、自らの経験に基づき実践していると思われる(Barlow, 1981; Boisvert & Faust, 2006; Dobson & Beshai, 2013)。 【結論】 実践現場の現実に合った介入方法とアセスメント方法に関する体系的な方法論が必要 【参考文献】 仁藤・奥田・川上・岡本・山本(2021)精神科臨床における応用行動分析学の実践と研究, 行動分析学研究 第35巻 第2号 【ベストコメント】 困ったときは「うぇーい」ですね! #RCT #エビデンス #心理療法 #カウンセリング #科学 #心理臨床 #臨床心理士 #公認心理師 #心理学
11月18日
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