静かな湖のほとりに立つと、
水面に自分の姿が映ります。
風のない日には、
驚くほどはっきりと。
けれど、
その姿を見て、
「なんだか思っていた自分と違う」
と感じたことはないでしょうか。
実は、
自分の声もそれによく似ています。
音声配信を始めたばかりの頃、
あるいは録音した自分の声を初めて聴いたとき、
多くの人が戸惑います。
「こんな声だったの?」
「もっと違う声だと思っていた。」
「自分の声が苦手です。」
私もそんな言葉を耳にすることがあります。
けれど、それはとても自然なことです。
私たちが普段聞いている自分の声は、
骨や身体の振動を通して聞こえている声です。
録音された声は、
空気を伝わって他人に届いている声です。
だから、
自分が思っている声と違って聞こえるのです。
けれど本当は、
その録音された声こそ、
周りの人たちがいつも聞いている声なのです。
そう思うと、
少し不思議ですね。
私は音声配信を続ける中で、
ひとつ感じることがあります。
それは、
声は評価するものではなく、
受け入れるもの。
ということです。
私たちはつい比べてしまいます。
きれいな声。
通る声。
魅力的な声。
プロのアナウンサーのような声。
けれど、
人の心を動かしているのは、
必ずしも
整った声ばかりではありません。
少しかすれていても、
少しゆっくりでも、
少し不器用でも、
その人らしい声には、
その人だけの温度があります。
その温度こそが、
誰かの心に届くのです。
私は絵本の読み聞かせを通して、
たくさんの声を聴いてきました。
上手な人もいました。
緊張している人もいました。
けれど、
子どもたちの心に届いていたのは、
決して技術だけではありませんでした。
そこには、
「伝えたい」という気持ちがありました。
「一緒に楽しみたい」という想いがありました。
その想いが、
声に宿っていたのです。
声は、
その人の人生そのものかもしれません。
笑った日々。
泣いた日々。
頑張った日々。
誰かを愛した日々。
そうした時間が積み重なって、
今の声になっている。
だから声には、
その人だけの物語があります。
若い頃の声も素敵です。
けれど、
歳月を重ねた声には、
また別の美しさがあります。
深み。
やわらかさ。
包み込むような温もり。
それは
人生からの贈り物なのかもしれません。
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