坂道をのぼるたびに
近づいてく夏の香り
麦わら帽子のつば越しに
懐かしい風を吸い込んだ
景色だけは変わったのに
夏の匂いはそのままで
変わらないアイスケース
あの日と同じ笑い方が
人波の向こうで煌めいた
風鈴が揺れるたび
遠い記憶が鳴りだす
忘れたはずの気持ちまで
夕風に連れ戻される
白いワンピース揺らして
何でもないふりをした
君に会えたそれだけで
ラムネみたいなこの胸が
少しだけ忙しくなる
帰ってきたのはこの場所だけじゃない
眩しい夏と あの日の私
神社へ続く石畳
蝉時雨が降りそそぐ
背伸びして追いかけてた
面影がそこにあった
川沿いの新しい街灯
変わっていく景色の中
変わらない横顔だけが
夕暮れ色に溶けてゆく
言えなかった言葉なら
今でも胸にあるけど
このままでもいい気がして
空を見上げていた
白いワンピース揺らして
隣で笑い合うたび
少しだけ時間が戻る
風に鳴る風鈴の音
夏空へ消えていく
この気持ちは恋なのかな
懐かしくて 切なくて
白いワンピース揺らして
ラムネ瓶を傾けた
君の瞳に映る入道雲
はじけて消える泡のような
短い夏だとしても
この瞬間を忘れたくない
風鈴の音と連れてゆく
君と見上げた夏空へ
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