もしもの前に、話しておきたいこと
|中下麻衣の未来支度
「話しておけばよかった」を、
「話しておいてよかった」に変えていく。
第3回は、中下麻衣の母親が突然体調を崩し、ICUに入った日の実体験をお届けします。
当時26歳だった中下の母親は53歳。直前まで普段どおりに生活していましたが、急性疾患によって容体が急激に悪化し、大学病院のICUへ転院することになります。
母親からは以前より、「できるだけ苦しみを感じない方法で治療してほしい」と聞いていました。
しかし、緊迫した医療現場でその希望を口頭で伝えようとしても、十分に受け止めてもらえない状況が起こります。
「言葉で聞いているだけではなく、書面にして渡せるようにしておけばよかった」
中下は、処置室の前で強い後悔と自責の念を抱きました。
転院先の医師から告げられたのは、「今この瞬間に心臓が止まってもおかしくない」という厳しい現実。
ところが、意識がないと思っていた母親は目を開け、中下から渡された紙に「重症?」と書きました。
本当のことを伝えるべきなのか。
不安にさせないために伝えないほうがよいのか。
これが最後の会話になるかもしれない中で、中下と父親は、その場で判断を迫られます。
母親が「命に関わる状態であることを告知してほしいのか」を、事前に聞いていなかったからです。
今回の放送では、医療や延命、告知に関する希望を、元気なうちに家族で共有しておく大切さを考えます。
未来支度は、「家族に迷惑をかけないため」だけのものではありません。
本人が意思を伝えられなくなったとき、家族を迷わせず、本人の希望を医療者へ伝えられるようにするための備えでもあります。
すべてを一度に決める必要はありません。
・病状や余命について、本人に伝えてほしいか
・延命治療をどこまで希望するか
・治療を受ける際に大切にしてほしいこと
・介護が必要になったとき、どのように過ごしたいか
まずは、自分や家族が特に大切だと思うことを、一つだけ話してみることから始められます。
中下と母親は退院後、互いに命の危険があったことを打ち明け、「何かあったときに後悔しないよう、普段から話しておこう」と約束しました。
重い話を突然切り出すのではなく、食事中や散歩中の何気ない会話から、自分の考えを伝えてみる。
日頃からたくさん話しておくことが、大切な話をできる関係をつくります。
今回の問いは、
「あなたが家族に聞いておきたいことは何ですか?」
医療や介護のこと。
大切にしているもの。
スマートフォンや通帳のこと。
ペットのこと。
大きな話でなくても構いません。
まずは一つ、聞いてみたいことを思い浮かべてみませんか。
MC
①あやめグループ代表・中下麻衣
薬剤師として健康相談に向き合いながら、終活ガイド1級、エンディングノートセミナー講師、健康管理士など、健康・終活・未来支度に関する幅広い資格を持つ専門家。自身の闘病経験から、「健康と終活は、未来への自己投資である」という想いを持って活動中。
②株式会社ウェブリカ・小林海貴
Podcast・音声コンテンツの企画制作を手がけるプロデューサー。中下麻衣の経験や専門知識を引き出し、個人の未来支度に加え、家族の介護や働く人の健康、組織における備えの視点から番組を進行。
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