久村 和穂, 木村 美代, 松井 優子, 久野 真知子, 矢﨑 未来, 西部 明子, 元雄 良治, 龍澤 泰彦, 地域における外見支援のアクセス障壁と多層的課題:がん経験者および美容業従事者の視点から, Palliative Care Research, 2026, 21 巻, 3 号, p. 159-170, 公開日 2026/07/23, Online ISSN 1880-5302, https://doi.org/10.2512/jspm.21.159, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/21/3/21_26-00004/_article/-char/ja
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■AI要約(誤字はご勘弁ください)
日本緩和医療学会の東海北陸支部学術大会への登壇に伴い金沢を訪れている内科医たけお氏が、同学会の学術誌『Palliative Care Research』最新号に掲載された、金沢医科大学の医師らによる「地域における外見支援のアクセス障壁と多層的課題」をテーマとした最新論文を紹介・解説した。
近年、医療の枠組み単体では解決できない生活上の問題が増えており、他分野との連携が不可欠となっている。本論文は、がん患者の外見変化に対する「アピアランスケア」をめぐり、これまで接点の少なかった医療と美容業界の連携に焦点を当てた画期的な調査研究である。
調査によると、がん経験者(女性58名)の76%が「医療者以外に身近な相談相手を求めている」と回答した。脱毛時の苦痛や気分の落ち込み、整容面の苦労、周囲の視線への不安といった多面的な悩みを約6割が抱えている一方で、地域の理美容院などの情報を十分に得られている人はわずか10.3%にとどまり、情報アクセスの低さが浮き彫りとなった。
他方、美容業界の従事者(262名)への調査では、約9割が「がん経験者の支援に役立ちたい」と前向きな姿勢を示している。しかし、実際に学習機会を得られた経験がある人は約2割にとどまる一方、学習への関心自体は約8割と非常に高い。支援したい意欲はありながらも、知識や技術の不足、プライバシーや安全性への配慮、医療との連携不足が支援参入への高い障壁となっている現状が明らかになった。
論文では「社会生態学モデル(SEM)」を用い、個人・対人関係・組織・地域コミュニティ・政策/社会文化の各階層に存在する課題を整理した上で、今後の支援の方向性として「医療」「美容」「地域・ピアサポート」の連携を提示している。
具体的には、医療機関による医学的評価や適切な情報提供、美容従事者が専門知識を習得するための学習機会の確保、そしてがん相談支援センターを含めた相談窓口の可視化や、当事者同士が支え合えるピアサポート環境の整備が挙げられる。
北陸での調査ではあるものの、同様の課題は全国共通であるとし、医療・美容・地域の協働によって誰もが孤立せず適切な外見ケアへアクセスできる仕組みづくりの重要性を伝えている。