「やめたいのに、やめられない」
そんな自分を見て、
意志が弱いからだと思うことがあります。
でも、その行動には、もしかすると
自分でも気づいていない「役割」があったのかもしれません。
眠るため。
考えないため。
思い出さないため。
どうにか今日を終えるため。
トラウマについて学んでいると、
一見すると困った行動や、やめたほうがいいと思える行動も、
その人が苦しさをしのぐために身につけた方法だった、
という見方に出会います。
アディクションの領域には、
アルコールや薬物などへの依存を、心理的な痛みや生きづらさに対する「自己治療」として捉える考え方もあります。
もちろん、だからそのままでいい、という話ではありません。
依存には身体や生活に大きな影響を及ぼすものもあります。
ただ、
「なんで、またやったんだろう」
と自分を責め続けるだけではなく、
「今日、何があった?」
「何を忘れたかった?」
「何を言えなかった?」
そんなふうに、自分を見ることもできるのかもしれない。
『なくしたら、困るもの』は、
トラウマについての研修で学んだことをきっかけに生まれた曲です。
治った人の歌でも、
何かを克服した人の歌でもありません。
自分がずっと嫌っていた行動に、
初めて「理由があったのかもしれない」と気づいた人の歌です。
必要だったものを、ただ取り上げるのではなく。
いつか、それがなくても困らない日が増えていく。
そんなところから始まる回復もあるのだと思います。
※この作品は、トラウマや依存症の診断・治療を目的としたものではありません。現在つらさが強い方や、アルコール・薬物などの依存で生活や健康への影響がある方は、一人で抱えず、医療機関や専門の相談先につながることも大切です。
【なくしたら、困るもの】
[Verse 1]
やめたいと思ってた
何度も
今度こそって思った
捨てて
また戻って
そのたびに
自分が嫌になった
意志が弱いんだと思ってた
みんなができることが
僕にはできない
それだけだと思ってた
[Pre-Chorus]
「それがなくなったら
何が困る?」
そう聞かれて
何も答えられなかった
そんなこと
考えたこともなかった
やめることばかり
考えてたから
[Chorus]
眠れなくなる
夜が長くなる
静かになると
いろんなことが出てくる
そこでやっと
少しわかった
僕はこれが
好きだったんじゃなくて
これがない夜を
知らなかったんだ
[Verse 2]
いつからだったかは
よく覚えてない
ただ
何も考えなくていい時間が
必要だった
誰にも言わずに済む
理由も聞かれずに済む
朝になれば
いつもの顔ができた
だから
また戻った
[Pre-Chorus 2]
ずっと
負けたんだと思ってた
でも
あれがあったから
越えた夜もあったのかもしれない
そう思ったら
急に許せた
……わけじゃない
やっぱり嫌になる日もある
もうやめたいとも思う
[Chorus]
眠れなくなる
夜が長くなる
静かになると
いろんなことが出てくる
僕はこれが
好きだったんじゃなくて
これがない夜を
知らなかったんだ
[Bridge]
前みたいに
なんでできないんだ
って
自分を追い詰める前に
ひとつだけ
聞くようになった
今日
何があった?
何を忘れたい?
何を
言えなかった?
答えが出ないまま
手を伸ばす日もある
そんな自分を見て
ああ
今日はきつかったんだな
そう思う日がある
[Final Chorus]
なくしたら困るものを
無理やり
なくすんじゃなくて
いつか
なくても困らない夜が
増えていけばいい
今はまだ
そこまででいい
僕はこれが
好きだったんじゃなくて
これがない夜を
知らなかった
[Outro]
やめることばかり
考えてた
今は少し
その前に
今日
何があった?
って
自分に聞いている
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