やはらかに 柳あをめる 北上の 岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
「北上」とは、作者の故郷を流れる川です。
作者は故郷を遠く離れて、今、追憶の中の北上川を思い浮かべ、望郷の念を抱いています。
柔らかに萌え出た青い柳の北上川の岸辺が追憶の中に目えて、それはいかにも泣けと言うかのようにと言うので、故郷への思いの切なさが伝わります。
作者の石川啄木は、以前も取り上げさせて頂きましたが、岩手県出身の明治時代に活躍した歌人です。第一歌集『一握の砂』に収められている一首で、この歌の前には「石をもて追はるるごとくふるさとを出でしかなしみ消ゆる時なし」の一首が置かれています。明治45年4月13日26歳。あまりにも短い生涯を終えました。