川のありかが匂いでわかった。この一文だけで、私もその場に彼と一緒に立っていました。
ダンは、自分のした小さな作為について、自分自身に何度も何度も言い訳をしてたんだろうな。ローリーから離れた後ろに立っていたとき、胸の中がじくじくしてたんだろうな。最終的にイシガイが見つかったときには、残念な気持と共に、ホッとしたんだろうな。
私も子どもに戻って川の中に立ち、一緒にじくじくしてました。そして、そんな気持ちを抱えたダンと自分が、なんとも愛しくなりました。
街の灯りがない、野山の真夜中は、本当に真っ暗闇。そこでは五感がフル稼働だ。聞こえてなかった声や音が聞こえはじめ、暗闇の中にもうっすらと形が見えてくる。ゴールディーさんの語りを聴きながら、私もそんな暗闇に立っていました。