【第125回】M&Aをする際にチェックすべき労務管理のポイント(買い手編、前編)
M&Aを成功させるための労務管理体制の整備とリスク管理の秘訣についてお話しています。
今回のテーマは買い手編(前編)。買収時のリスクを最小限に抑えるためのポイントを解説しています。
買収後の従業員との労務管理をスムーズに進めるための準備もお伝えしています。
M&A買収前に必ず実施すべき「労務DD」の目的と落とし穴
M&Aの買い手側にとって最も重要な労務管理ポイントは、買収後に思わぬ追加コスト(未払い残業代や社会保険の遡及加入など)が発生しないよう、事前に労務デューデリジェンス(DD)を行うことです。理想的には、売り手側の顧問社労士ではなく、別の社労士事務所にスポットで依頼することで、より中立的で多角的な監査が可能になります。社労士にも得意分野が異なるため、大手や労働時間管理に強い事務所を選ぶと安心です。
「社労士診断認証制度」の活用で労務DDのリスクをさらに軽減
買収前に売り手企業が「社労士診断認証制度」を利用しているか確認することも、労務DDを円滑に進めるための有効な手段です。この制度では、社労士が労務法令順守の観点から企業の職場環境をチェックし、診断・認証する仕組みです。万が一、買収後にDDでは見抜けなかった労務リスクが顕在化した場合、この制度を通じた診断結果が買い手側のリスクヘッジ材料や損害賠償請求の根拠になり得る点も見逃せません。
労務DDは「誰に頼むか」で結果が変わる。社労士選びの視点とは?
労務DDの効果を最大化するには、社労士事務所の選び方が鍵です。日常的に顧問契約をしている事務所とは別に、DD業務は監査的役割に強い社労士に委託することが望ましいです。特に従業員数の多い事務所や、診断実績が豊富な事務所を選ぶことで、チェックの網が広くなり、リスクを取りこぼしにくくなります。また、複数の視点を得る意味でも、少人数の事務所か大手かを使い分ける発想が、経営者にとって重要な判断材料となります。
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パーソナリティー:田村陽太
東京外国語大学外国語学部卒業。産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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