1.ACTにおけるルール支配行動
ACTでは言語的記述によって行動が制御される状態をルール支配行動で説明している。
① プライアンス…行動とルールの一致に対して,社会的強化子によって強化される(Törneke 2010)。ルールと一致するように行動するという一貫性を保つことが強化になる。
例)親や教師に指示された通りに行動し「称賛」や「ご褒美」で強化を受ける。
② トラッキング…行動に随伴する自然な結果という直接的随伴性に強化されるルール支配行動(Hayes et al. 2001a)
例)ゴミ拾いをしてみたらほめられた
③ オーグメンティング…事象の結果としての機能の程度を変える関係ネットワークによるルール支配行動(Hayes et al. 2001a)
例)子どもに「80点以上取れたら~すごく…だと思う」
2.理想を邪魔するものとは
ACTでは「概念としての自己(自分の体験へのラベルづけ)」に囚わている状態がその人が大切と思う方向へ行動を阻害し,心理的問題を引き起こすと説明している(Luciano et al. 2011)。
例)自分の仕事がうまくいかないのは、自分が~タイプだからだ
↓
強く行動を制御すると自分を概念と同一視し苦悩と制限をもたらす。
・「概念としての自己」と関連する恐怖や望ましくない思考が現れるとそれを回避すべき対象だと学習している → 回避行動を促すルールが派生される
例)「私は不登校である(概念としての自己)」の中には「ネガティブな感情はよくないもの」(オーグメンティング)や「学校から逃げろ」(プライアンス),「登校しなければ楽になる」(トラッキング)といった思考が簡単に派生する。
注)学校に行かないことを否定するものではありません
3.言葉による支配からの脱出
・「プロセスとしての自己」の促進…継続的な自己体験への気づきを増大させ,心理的柔軟性を習得させる。
・「文脈としての自己」の促進…すべての自己体験を自分の一部として経験し(Törneke 2010),思考や感情と離れた安全な心理的場所を提供する
・具体的には…「今、私の中にはAという出来事が起きている…次は何が起きる?…今Bが起きている…自分の中に起きていることに気づいている自分がいる…」
【参考文献】
張・谷(2023)自己概念に対する関係フレーム理論からの理解と研究の展望,立命館人間科学研究 第46号
【ベストコメント】
私の中ではヒロさんはキムタクのままです。
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