1. ロジャースが目指したもの
セラピスト/ファシリテーターが(そしてクライアント/参加者が)の在り方
・「自己一致 congruence」しており自分の感じていることに「真正、率直genuine」であること
・「相手への共感的理解 empathetic understanding」
・「無条件の肯定的関心unconditional positive regard」
を重視
・「専門家による指導的介入がなくとも、自発的で、対等な、人間同士の率直かつ自己一致した、肯定的な関係に基づく交流があれば、人は自らで変化し、成長していくものである」という考え方に基づく
「対話」という言葉をあまり用いず「成長を促進する風土」や「深化するあるいは改善する関係 deepening and improving relationship」と表現している
・「クライアント/パーソンセンタードアプローチ」
心理療法の中でクライアントの持つ、内的可能性、変容や成長の力を信じ、カウンセラーの介入や指示を最小限に抑えた。
「非構成エンカウンターグループ」
・一対一のカウンセリングと同様、話し合いやグループワークを導くリーダーはおらず、全員の自由な発話を促すファシリテーターがいる。
・話すべきテーマや話し合いの目的についてはあらかじめ設定されておらず、オープンエンドで、グループが話し合うなかでそれを見出す。
2.D.ボーム
・物理学者
・唯一の真理の探究としての科学的論争や立場が異なる者が勝ち負けを決する議論とは異なるコミュニケーションとしての対話を重視。
【議論】
・dis-cussionの語源は「物を(分解/分析して)バラバラにしてしまう」の意味。
・参加者がそれぞれの立場に分かれ、勝ち負けを競いあったり相手を批判し、腹を立てたりして、双方をつなぐものがない状態
・人がそれぞれの立場に分かれ、それに固執し、それが争いや対立のインフレーションを生み、さらに立場への固執と、相手に対する感情的反応を生み出す原因となる。
【対話】
・dia-logueは言葉の意味 logosを共有する作業であり、「意味を共有する」(Bohm1996)
・対話者の間にある種の一体感や共同性がある状態
・「こうでなければならないと思っていること=前提 assumption」に気づき、その働きを差し止め、それを他の対話者と一緒に見つめることが大事。
・それぞれが言いたいことを言うのではなく、自分が今何を感じているか、言いたいと思っているのか、なぜそう感じるのか、言いたいと思うのか、それを言うことで他人や場にどのような影響を与え、何をすることになるのかについての「セルフアウェアネス」を持つことを重視。それによって、自分を自己防御や他人への攻撃に駆り立てる「前提を宙づりにし suspending assumptions」(Bohm 1996,2007)
・同じことについて意味を共有し、ともに考えることができることを通じ他人との新しい共同的で創造的な関係を結び直していくこと。
【ベストコメント】
この「議論」とか「合意形成」が必ずしも対話文脈でのファシリテーションにはならないんですよねぇ。
【参考】
高橋(2017)哲学対話とスピリチュアルケア, Osaka University Knowledge Archive
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