イマジナリーカキフライにいたる病 プロローグ
私は、久しぶりに職場の近くの弁当屋でランチを楽しむことにした。メニューを見ながら、目に留まったのは「4個入りカキフライ弁当」。カキフライが4個入っているというその響きに、心が躍る。お腹も空いていたし、これは絶対に美味しいに違いない。
弁当を受け取り、ワクワクしながらフタを開けると、目の前に広がったのは、なんと4+i個のカキフライ。そう、iは虚数単位だ。現実には存在しないカキフライが、私の目の前に現れたのだ。思わず笑ってしまった。これが、私のイマジナリーカキフライなのか。
私は、まず現実の4個のカキフライを一口。サクサクの衣と、ジューシーな牡蠣の味わいが口の中に広がる。次に、イマジナリーカキフライにタルタルソースをたっぷりとつけて、想像の世界へと旅立つ。タルタルソースのクリーミーさが、まるで私の記憶の中にあるあの頃の味を呼び起こす。
ふと、レモンをかけたくなった。あの頃、4個入り唐揚げ弁当にも入っていたレモン。特別な思い出が詰まった、私だけの4個入り唐揚げ弁当。唐揚げが5個入っていたその日、私は特別感に包まれていた。今、イマジナリーカキフライにレモンをかけることで、その思い出が鮮明に蘇る。
#イマジナリーカキフライにいたる病