作者の歩く、修羅とは…???
作者のみつめる、ふたつのこころとは…???
11/27に3つの作品。その次の作品は、6/3の日付となっていて、その作品からも悲しみが伝わってきます。
またその作品は、その頃に読みたいと思っています。
話は変わりますが、お聞きいただいている方々の中で、もし良い音声修正?アプリ(iPhone用)をご存知でしたらご教授ください🙇♀️ピチパチ口の中の唾の音が入ってしまうので困ってます…。
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無声慟哭
こんなにみんなにみまもられながら
おまへはまだここでくるしまなければならないか
ああ巨きな信のちからからことさらにはなれ
また純粋やちひさな徳性のかずをうしなひ
わたくしが青ぐらい修羅をあるいてゐるとき
おまへはじぶんにさだめられたみちを
ひとりさびしく往かうとするか
信仰を一つにするたつたひとりのみちづれのわたくしが
あかるくつめたい精進のみちからかなしくつかれてゐて
毒草や蛍光菌のくらい野原をただよふとき
おまへはひとりどこへ行かうとするのだ
(おら おかないふうしてらべ)
何といふあきらめたやうな悲痛なわらひやうをしながら
またわたくしのどんなちひさな表情も
けつして見遁さないやうにしながら
おまへはけなげに母に訊きくのだ
(うんにや ずゐぶん立派だぢやい
けふはほんとに立派だぢやい)
ほんたうにさうだ
髪だつていつそうくろいし
まるでこどもの苹果の頬だ
どうかきれいな頬をして
あたらしく天にうまれてくれ
((それでもからだくさえがべ?))
((うんにや いつかう))
ほんたうにそんなことはない
かへつてここはなつののはらの
ちひさな白い花の匂でいつぱいだから
ただわたくしはそれをいま言へないのだ
(わたくしは修羅をあるいてゐるのだから)
わたくしのかなしさうな眼をしてゐるのは
わたくしのふたつのこころをみつめてゐるためだ
ああそんなに
かなしく眼をそらしてはいけない
一九二二、一一、二七
#朗読 #青空文庫 #宮沢賢治 #春と修羅