難消化性グルカン業界は、トウモロコシやオーツ麦を原料とする機能性食物繊維の製造分野であり、プレバイオティクス(腸内細菌の餌)としての効果や血糖値コントロール機能が科学的に裏付けられています。世界市場は北米が最大ですが、成長率は中国や東南アジアなどのアジア太平洋地域が最も高く、2024年に売上高が約33%増加した山東バイロンなどの中国企業が台頭しています。
業界の構造変化を象徴するのが活発なM&Aと事業ポートフォリオの入れ替えです。テート・アンド・ライルは低収益な一次産品事業を切り離し、中国のプレバイオティクス企業を買収するなど、スペシャリティ素材への集中を進めています。また、ケリーグループは免疫素材「Wellmune」を買収し、パン酵母由来β-グルカンを主力製品に育て上げました。
競争環境は、グローバルな販売網を持つADMやカーギルといった巨大穀物メジャーと、独自の技術力を持つ専門メーカーが混在しています。日本の松谷化学工業は「ファイバーソル」で世界的な地位を確立しており、フランスのロケットは「ニュートリオース」で欧州市場をリードしています。今後は「おいしさと健康の両立」というニーズに対し、味覚と機能を統合したソリューション提案が勝敗を分ける鍵となります。