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―― タイ尊厳介護視察3日間を振り返って ――
私が最も伝えたい介護は、「尊厳ある介護」です。そしてそれは、とりわけ認知症のある高齢者のための介護だと考えています。認知症になると、できないことや分からないことが増えていきます。しかし、それは「その人でなくなる」ことではありません。これまで生きてきた人生や価値観が、より深く表に現れてくる時期でもあります。だからこそ介護に必要なのは、症状を見る前に「人を知ろうとする姿勢」であり、その根底に尊厳があります。
今回のタイ尊厳介護視察3日間では、日本の介護現場を共に歩き、共に感じ、共に考える時間を重ねました。特別な説明や理論よりも、日常の関わりの中にある空気感、距離感、声のかけ方が自然と共有されていきました。その中で繰り返し確認されたのは、「尊厳は教え込むものではなく、体感し、分かち合われるものだ」という気づきでした。
認知症介護は、技術や知識だけでは成立しません。相手をコントロールするのではなく、その人の世界に一歩近づき、尊厳をもって向き合うこと。その姿勢こそが、国や文化を越えて共感を生みます。尊厳を共有すること。それが、認知症介護の原点であり、ここから、これからの介護につながる道なのではないでしょうか。
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