20160109
吾輩は猫である。正月気分もすっかり抜け、人間どもが「三連休」という名の二度目の逃避を前に、そわそわと浮き足立っておる一月九日金曜日。御主人は、懐の温かさと外の寒さの間で、実に複雑な表情(かお)をして新聞を広げておる。
二〇二六年の幕開けは、天の怒りと人の欲が入り混じり、毛を逆立てるような騒動の連続である。
天の怒りと、忍び寄る白き魔物
山梨県の上野原という場所では、扇山が火に包まれ、自衛隊なる者たちが懸命に消火に当たっておるという。人間は、山を自分たちの庭だと思っておるが、ひとたび火がつけば、その無力さを露呈するばかりである。
さらに恐ろしいのは、明日からの三連休に襲いかかる強烈な寒波だ。北から西まで、この島国を真っ白な雪で覆い尽くそうとしておる。普段は雪を見ぬ太平洋側の人間どもまでが、交通が止まるだの積雪だのと、赤子のように怯えておる姿は、誠に滑稽である。吾輩は、炬燵(こたつ)の奥深くで静かに丸くなるに限る。
異国の主人への参勤交代と、猛獣の咆哮
この国の主立った役人ども、小泉防衛大臣や片山財務大臣は、揃いも揃ってアメリカという大国へ飛んでゆく。防衛の話だの、レアアースなる光る石ころの相談だの、まるで江戸時代の参勤交代を見ているようである。
その肝心のアメリカの主、トランプ大統領はといえば、相変わらず血気盛んである。
* イランへの警告: 「デモ隊を殺せば軍事行動も辞さぬ」と牙を剥き、世界を震え上がらせておる。
* 国際機関からの離脱: 六十六もの国際組織から手を引くと宣(のたま)い、国連の事務総長を泣かせておる。
自分たちの殻に閉じこもりながら、他人の庭には口を出す。人間という生き物は、つくづく矛盾の塊である。
銭の乱舞と、輝ける石ころの夢
経済の世相を見れば、人間どもの「銭」への執着がいよいよ極まっておる。
この冬のボーナスとやらは、平均で九十五万七千円を超え、過去最高を更新したという。さらに日経平均株価は、一日にして千六百円も跳ね上がり、五万一千九百三十九円などという、聞いたこともないような数字を叩き出した。
人間どもは「二〇二六年こそはレアアース元年だ」と、地中に眠る珍しい石ころに新たな希望を託しておる。懐が潤うのは結構だが、物価高という名の怪物が背後に迫っておることに、どれほどの者が気づいておるか。
結論
今日の世間は、燃える山と迫り来る雪、そして膨れ上がる銭の幻想で出来ておる。
ベレンのデモやベネズエラの政治犯の釈放を求める声など、遠い異国の叫びは、この寒波の中では微かな風音にしか聞こえぬ。御主人は、ボーナスの使い道を考えながら、同時に雪で電車が止まることを案じ、実に忙しそうである。
吾輩は、株価の乱高下にもレアアースの行方にも、毛ほども関心はない。ただ、三連休の間、この温かな家が雪に閉ざされ、静かな安眠が守られることだけを願っておる。人間が外でいかに騒ごうとも、猫の平和は座布団の上にしかない。
あなた様は、この「白き試練」の三連休に、いかなる「温かな逃避」を計画し、いかなる「真の安寧」を求めますか。