今回は、仙台・青葉城跡から、スポーツ実況とAI活用について話しています。
Jリーグは秋春制へと移行し、これまでとは違う日程でシーズンが進んでいきます。一方で、Bリーグも新しいカテゴリーへ向かい、Bプレミアをはじめとした新たな形が始まろうとしています。これまでサッカーとバスケットボールは、ある程度シーズンが分かれていた部分もありましたが、今後は日程が重なってくる可能性も出てきます。
実況者としては、これは単に「忙しくなる」というだけではありません。どの競技を追い、どの試合を担当し、どこまで準備するのか。スケジュールの組み方も、情報の集め方も、これまでとは違う考え方が必要になってきます。
さらに高校野球のように、日程変更や雨天順延によって担当カードが直前に変わる現場もあります。十分な準備期間があるとは限らない中で、どれだけ正確な情報を集め、試合の背景をつかみ、視聴者に伝わる言葉にできるのか。実況者には、見えている以上に多くの準備が求められます。
そんな中で、AIは実況者にとって大きな助けになるのではないか、という話をしています。
AIに資料を集めてもらい、チームや選手の情報を整理し、直近のニュースや試合結果を追ってもらう。人間がすべてを手作業で追いかけるには限界があります。特に、複数の競技やカテゴリーを担当する実況者にとって、AIは情報収集の「網をかける」存在になり得ます。
ただし、AIが出した情報をそのまま使えばいいわけではありません。実際には、間違った情報が出てくることもあります。だからこそ、最後に確認し、裏を取り、現場の文脈に合わせて言葉にするのは人間の仕事です。AIは便利な道具ですが、実況そのものを成立させるには、経験や判断、現場を見る力が必要です。
また、AI実況が今後増えていく可能性についても考えています。選手の動きやボール保持をAIが認識し、自動で実況のようなものを生成する技術は進んでいます。特に、配信されるスポーツコンテンツが増える一方で実況者が足りない現状を考えると、AIがサポート役として入ってくる場面は増えるかもしれません。
一方で、人間の実況者には、モニターに映らない情報を拾う力、現場の空気を感じる力、試合の流れを言葉に変える力があります。アディショナルタイムの掲示を見るタイミング、選手交代の気配、会場の雰囲気、視聴者がどう受け取るかへの配慮。こうしたものは、経験を積まなければ身につきません。
実況は、ただ選手名を言えばいい仕事ではありません。偏らないようにしながらも、試合の面白さを伝えなければならない。リードしているチームの情報を多く話せば、相手チームのファンには偏っているように聞こえることもある。視聴者の目は厳しく、正解が一つではない難しさがあります。
だからこそ、これからの実況者には、AIを恐れるのではなく、うまく使いながら、自分の言葉と経験をどう磨いていくかが問われるのだと思います。
AIに資料作成を助けてもらい、人間が現場を見て、判断し、言葉にする。
AIが実況者の仕事を奪うのか、それとも実況者の力を広げるのか。
仙台の青葉城跡で、荒城の月を聞きながら、そんなスポーツ実況のこれからについて考えています。