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「お住まいはどちらですか?」と聞かれて住所をフルで答えない理由

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Grice (1989)の「協調の原理:Cooperative Principle」および Sperber and Wilson (1986/95)の「関連性理論:Relevance Theory」の考え方をもとに、「お住まいはどちらですか?」と聞かれて住所を丸ごと答えない理由を考察。 Grice (1989): 協調の原理 (cooperative principle) この原則をもとに、以下の4つの格率 (Maxim)を話し手の指針として設定 ・量の格率 (Maxim of quantity) ・質の格率 (Maxim of quality) ・関係の格率 (Maxim of relation) ・様態の格率 (Maxim of manner)
 Sperber and Wilson (1986/95): 関連性理論 (Relevance theory) ・関連性理論では、発話が文脈にもたらす効果に注目する →文脈効果が大きいほど「関連性」が高いと考えられる ・発話の処理にかかるコスト(労力)にも注目 →労力が小さいほど「関連性」が高いと判断される 【参考】 内田聖二 (2013)『ことばを読む、心を読む:認知語用論入門』開拓社言語・文化選書42, 東京: 開拓社. https://amzn.to/3mbL8hO Grice, P. (1989). Studies in the Way of Words, Cambridge, MA: Harvard University Press. https://amzn.to/31HNj3m Sperber, D., & Wilson, D. (1995). Relevance: Communication and Cognition, Oxford: Blackwell. https://amzn.to/31H
2021年4月13日
コメント(2)
Yumiko Saraie
情報量には色々な原理や理論が働いて決められてたなんて面白かったdwす。協調の原理、人物像に大きく関わる鍵としてとらえながら聞いていました。少ないと無愛想な人になるし、多過ぎると変な人になりかねませんね。 そして「当たり前」には理由があった、そしてシチュエーションによって、その当たり前も無意識の協調の原理が働いて変わってたんですね。 それを踏まえて此処での発言を考えると、 「私はイギリスに住んでいます。」
2021年4月20日
いいね 1
ガリレオ【本物の英語教師】
最適な関連性のコメントありがとうございます😊 語用論 (Pragmatics)は「人がいかに空気を読むか?を探る学問」と言われることもあります。よく「空気を読む」のは日本特有の慣習であるかのように考える人もいますが、どんな言語の話者でも、コミュニケーションの中では(各々の文化や場面に応じて)適切に空気を読んでいるんですね。 ひとつだけ clarifyしておくと、協調性の多寡が人物像の印象に影響を与えることはあるかもしれませんが、個人のキャラクターとして「会話の協調性が高い/低い人」がいる…ということではなく、自然な会話が交わされる時には4つ の格率が満たされており、「ん?」と感じるような不自然な応答は、何らかの格率の違反によって生じるという考え方です。その意味では、性格特性としての「協調性」とは異なります。また、あえて格率を破って特別な文脈効果を狙うこともあります。探偵小説の序盤では、十分な量の情報を明かさないといったことも一例として挙げられます。
2021年4月20日
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