関係フレーム理論(RFT)に基づく自己概念の形成と発展についての内容です。関係フレーム理論は、認知行動療法の一部として、人間の認知と行動の関係性を理解し、様々な精神的な問題に対処するために使用されます。以下に各項目の説明を行います。
1.直示的関係フレーム
「私-あなた」, 「ここ-そこ」,「今-その時」という3種類の関係フレーム反応。
視点、空間、時間と関連。
視点取得(perspective-taking)の発達に関わる重要な関係フレームで自己理解と他者理解、より複雑な自己の関係ネットワークの発達を促進する。
① 視点「私-あなた」
「私」視点のとき…様々な側面で自他を区別し比較する。最初に身体のような物理的属性を通して比較を行い、比較がより上手に発達していくと、視点どりはどんどん恣意的(気まぐれ)になる。
例)「兄は私より背が高い、私は兄より背が低い」→「女は私より優しい、彼は彼女より厳しい」。
②空間「ここ-そこ」
「私-あなた」の関係に「ここ-そこ」(空間的関係)が加わる‐物理的な場所から心理的な場所へと発展・心理的な場所への空間的関係を表現するようになる。
例)友達に「私はあなたと同じ立場」
※「私-あなた」という視点なしで 「ここ-そこ」という空間を指定することは不可能。空間を指定すると,その主体となる視点は必ず必要
③ 時間「今-その時」
・「私-あなた」の関係から発展する
・実際に具体的な時刻を伝えることから習得が始まる。上手になると時刻を使用せずに時間的関係が表現できるようになり,その時間の枠も数か月,数年に拡張する
※ 時間的関係も空間的関係と同様に、「私-あなた」が常に含まれている。
例)「私は朝7時に起きる」→「あなたは私より朝起きるのが早い」
2.階層的関係フレーム(McHugh et al. 2019)反応
・「含む」「所属する」という関係を意味し自己概念に関連した様々な精神的な問題と関わる
例)ネガティブな自己イメージで抑うつになる
・「自分はいろんな体験を収納できる容器である」「自分が気づいていることに気づく」といった反応のこと
・「Aは私の一部である」という自己感覚
・自己体験、評価や行動をこのネットワークの一部として継続的に含めていくことで自己の安定性と感覚を保ったままで、行為と体験の多様性を保つことができる(Villette et al. 2015)。
3.階層的関係フレームの使い道
①不安なことを思い出し「私は不安」と感じる(不安にフュージョン)
② 安心なことを思い出し「私は安心」と感じる(安心にフュージョン)
↓
「私は不安で安心な人である」(矛盾・混乱を引き起こす)
↓
「『安心』と『不安』は私の体験の一部である」と唱えたらどうなる?(混乱防止)
【参考文献】
張・谷(2023)自己概念に対する関係フレーム理論からの理解と研究の展望,立命館人間科学研究 第46号
【ベストコメント】
花粉症界隈の人です
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