1.少子高齢化の危機感
・1990年、出生率が1.57
・1993「子どもの未来21プラン研究会報告」
・1994年「エンゼルプラン」…子育ては私事ではなく国・地方自治体・企業・職場・地域社会がそれぞれの役割を果たして"子育て支援社会の構築を目指す“
・2005年 国民生活白書「子育てが家庭の責任だけで行われるのではなく、社会全体によって取り組む『子育ての社会化』が重要」…親世代・同世代の友人・会社の同僚・近隣住民など社会全体が何らかの形で子育てに参加できる仕組みを構築する
2.子育ての社会化の問題点(高度経済成長による社会の変化)
・市場原理が子育てに及ぶ前(高度成長期以前)は子育ての共同体的なきずながあった。
・高度経済成長により
① 核家族化
② 多くの労働者が被雇用者化したことで生活水準や利便性が向上し、地域の生活互助機能を必要としなくなった
③ 地域共同体の相互扶助の裏にあった相互監視を避けるようになり近隣住民との親密さが薄まり、子育てが私事化
④ 性別役割分業が進み、男性が外に、女性が家事に専業するようになった
↓
・「都市的生活様式」:行政や市場が提供するサービスによって処理するようになる
・育児の私事化により密室化
・母による孤独な子育て
↓
市場原理によって保育のサービス化が進み長時間保育などの多様な保育サービスの量的拡大が中心に。
3.「子育てをめぐる共同体的きずな」に存在していたこと
産育儀礼…
① 着帯の儀…安産祈願に腹に帯を締める
② 産後の臍の緒切
③ 乳づけ(ちつき)…初めて乳をのませる、またその乳母
④ 湯殿始め…産湯を使わせたのち3日目に湯を浴びさせる
⑤ 産養(うぶやしない)…産後のお祝い(贈答)
⑥ 着布始(きそはじめ)…新年に新しい着物を着る
⑦ 産剃(うぶぞり)…赤ちゃんの頭髪をそる
など劣悪な医療水準や衛生状態の中でも、感染症や不慮の事故で死に至るようなことを防止するために小刻みに儀礼化して、産後の不安定な時期を乗り越えようとした。
〇仮親
・出産時の取りあげ
・乳つけ親…母乳の出が悪い母に乳を分け与える
・名付け親…生涯にわたる後見人
実親が不慮の事態でいなくなっても、子育てを代行してくれる存在
4.時代とともに変わる「子育てが不可能な事態」
昔…親子ともに生命レベルで不確実・不安定
現代…育児ストレス・育児不安・子育て家庭の貧困・親の就労による保育困難~親のライフスタイルの選択
【対処】
昔…地域共同体による相互扶助
現代…「人口減少により経済社会システムが不安定化し、持続的成長が期待できないので、社会全体、個人の成長にとっても豊かで安心できる状態の維持が困難。子育てと直接関係のない人たちにとっても出生率の回復は重要であり、社会全体として支援していくことが重要」‐子育てに関係のない人にも理解と協力を求める(2005年版国民生活白書)
【参考】
山本(2018)「子育ての社会化」と子どもの育ち,太成学院大学紀要 第18巻
【ベストコメント】
社会全体で子育て参加と言っても、なかなか人の家族の中には入れないですね…
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