コミュニティやセーフティを重視する対話、探求
1.「こどものための哲学」
・M.リップマン
・1970年代にアメリカでこどもとの哲学対話を通じた教育法
・「探求のコミュニティ」…インクルーシブで互いに信頼して参加できるコミュニティ、関係性をベースにした対話や探求を重視。
【探求のコミュニティ」の特徴】(Lipman 2003=2014)
・熟慮や偏りのなさ、自分自身で考えること、方法としての批判、理性的姿勢、議論することなど。
・大人/教師も含めた参加者が円になって座り、互いに対等に、それぞれの顔をみながら話すという対話環境
【共同的関係、コミュニティに関する項目】
a.インクルーシブであること(inclusiveness)
b.参加(participation)
c.認知の共有(shared cognition)
d.顔と顔が向き合った関係(face-to-face relationships)
e.意味を求める(quest for meaning)
f.社会的連帯を感じる(feelings of social solidarity)
2.「セーフな探求のコミュニティ Safe Community of Inquiry」
・T.ジャクソン
・リップマンに学び、ハワイの小中高校で「こどものための哲学」に【セーフティ】という要素を加えた
「教室は身体的な面からセーフな場である必要がある。しかし、対話と探究が始まるためには、その場が感情の面でも、知的な面からもセーフでなければならない。知的にセーフな場では、こき下ろされることもなく、軽視、足場崩し、否定、 過小評価、嘲笑が意図されるようなコメントもなされない。そのような場では、どんな質問やコメントも受け入れられる。ただし、円になって座っているメンバーに対して敬意が示される限りで。」
・考え、発言する主体としてだけでなく、身体や感情を持つ存在として対話者が捉えられており配慮がなされるべきであるとされている
・ある人が「言いたいこと、感じていることがあるのに言えない」のは、その個人のせいではなく、その場(関係性)の影響があるとする。(西洋的な個人主義ではなく関係性を重視)
・セーフな場…参加者が「セルフアウェアネス」を持てるように促す関係性のこと。対話者が率直に自分の話したいことを話し、またそれが否定されることなく尊重され、聞いてもらえること、自分や場に対するアウェアネスを持ち、他者との競合的、対立的な関係ではなく、共同的な関係を築くことができる場。
【セーフティ】
・身体的不調やネガティブな感情、あるいは発言を妨げるものが全くない状態というより、対話者がそれらに「気づき」、必要な場合には、自分の状態を適切に対話相手に伝えることができること、なぜそれが生じたのか見つめることができる、という自分への「気づき」、「セルフケア」や「セルフアウェアネス」のある状態。
・「身体的にセーフであること Physically Safe」…物理的、身体的におびやかされていない、身体の不調を自分が感じていることを意識し、必要に応じて他者に伝えること
・「感情的にセーフであること Emotionally Safe」…人から馬鹿にされたり嘲笑されたりすることがなく、感情的におびやかされていない、気持ちの不調を自分が感じていることを意識し、必要に応じて他者に伝えること
・「知的にセーフであること Intellectually Safe」…自分の言いたいことが率直に言える。他の参加者と肯定的な関係を持ち、共感的に受け入れられ、おびやかされていないこと=感情的にセーフであることだけでなく、発言やその内容についても尊重されており、「言いたいことが言えない」という状態に陥らないこと、「あなたの言うことはわからない」や「私はそうは考えない」等、言いにくいことも含め、自分が感じていること、言いたいと思うことを率直に話すことができる、ということ。
※ロジャースの言うところの、発言者が率直に発言できているか、自己一致しているかという、発言における自己との関係に関連
【参考】
高橋(2017)哲学対話とスピリチュアルケア, Osaka University Knowledge Archive
【ベストコメント】
毎日、お疲れ様です。生🍺
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