1.うつ病の発症に関連すると考えられること
・直近のライフイベントやストレッサー
・幼少期の生育環境…幼少期の逆境体験の中でも虐待やネグレクトを経験した場合,成人後にうつ病を発症しやすくなると言われている。
2.幼少期トラウマが及ぼす長期的影響
・幼少期に虐待などの逆境体験を経験した成人はHPA系の異常が認められると多数報告されている。
・ラットで,幼少期の劣悪な養育環境によってグルココルチコイドレセプターのpromoter領域(DNAに結合して遺伝子の転写を調整するタンパク質。遺伝子の発現を抑制・促進し細胞の機能や発生に重要な影響)のDNAメチル化がおきて、グルココルチコイドレセプターの発現量が低下する
→ ストレス耐性低下,炎症増加,免疫異常,代謝異常(肥満・糖尿)。
・ネガティブな認知バイアスが生じ,持続するようになる可能性…うつ病の特徴として認 知の偏り(認知バイアス)がかかり,ニュートラルな情報よりもネガティブな情報をよりよく記憶(=記憶バイアス)したり,ネガティブな情報により注意を向ける (=注意バイアス),という偏りがおきたりする。
例)ドット・ プローブ課題実験
・対象:健常女性128名
・ドット・プロープ課題(コンピューターを用いた注意バイアスを測定する)
・Childhood Trauma Questionnaire で評価した幼少期被虐待体験との関連を検討
【結果】幼少期に虐待体験を受けると,ネガティブな情報に対し,あるときには注意を過度に向け,またあるときには注意を過度に逸らすなどの,ネガティブな情報への注意の向け方が不安定で一貫性がなくなる「注意バイアス変動性」を呈する
・さらにこの注意バイアス変動性に関連する生物学的要因について検討したところ,血中tumor necrosis factor-α(TNF-α)濃度(炎症反応を示す値)が注意バイアス変動性と正の相関
など、うつと関連するような生体反応を示す。
【参考文献】
堀弘明(2022)うつ病の発症におけるストレスの役割,日本生物学的精神医学会誌 33巻4号
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