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月の歌（万葉集より）
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茜刺 日者雖照者 烏玉之 夜渡月之 隠良久惜毛
あかねさす 日は照らせれど ぬばたまの 夜渡る月の 隠らく惜しも
―柿本人麻呂
烏玉乃 夜霧立而 不清 照有月夜乃 見者悲沙
ぬばたまの、夜霧の立ちて、おほほしく、照れる月夜の、見れば悲しさ
―坂上郎女
山末尓 不知夜歴月乎 将出香登 待乍居尓 夜曽降家類
山の端に、いさよふ月を、出でむかと、待ちつつ居るに、夜ぞ更けにける
―不明
闇夜者 辛苦物乎 何時跡 吾待月毛 早毛照奴賀
闇の夜は、苦しきものを、いつしかと、我が待つ月も、早も照らぬか
―不明
真十鏡 可照月乎 白妙乃 雲香隠流 天津霧鴨
まそ鏡、照るべき月を、白栲の、雲か隠せる、天つ霧かも
―不明
佐宵中等 夜者深去良斯 鴈音 所聞空 月渡見
さ夜中と 夜は更けぬらし 雁が音の 聞こゆる空ゆ 月渡る見ゆ
―柿本人麻呂
三空去 月之光二 直一目 相三師人之 夢西所見
み空行く、月の光に、ただ一目、相見し人の、夢にし見ゆる
―安都扉娘子
月立而 直三日月之 眉根掻 氣長戀之 君尓相有鴨
月立ちてただ三日月の眉根掻き日長く恋ひし君に逢へるかも
―坂上郎女
夕闇者 路多豆多頭四 待月而 行吾背子 其間尓母将見
夕闇は、道たづたづし、月待ちて、行ませ我が背子、その間にも見む
―豊前國娘子大宅女
暮月夜 心毛思努尓 白露乃 置此庭尓 蟋蟀鳴毛
夕月夜 心もしのに 白露の 置くこの庭に こほろぎ鳴くも
―湯原王
夜干玉之 其夜乃月夜 至于今日 吾者不忘 無間苦思念者
ぬばたまの、その夜の月夜、今日までに、我れは忘れず、間なくし思へば
―河内百枝娘子
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月にまつわる歌
万葉集より
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10月7日
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