11月19日は“ゲティスバーグ演説の日”だという。アメリカという遠い国の大統領が、戦で倒れた者たちを前にして、たった二分ほど話しただけで、後の世に名を残したらしい。
吾輩などは、二分というと、丁度主人が朝に茶をすする間くらいの長さである。
しかし、人間の言葉というものは妙なもので、短くとも胸の奥を震わせるらしい。リンカーン殿は“人民のための政治”なることを申したそうであるが、吾輩としては“猫のための昼寝場所”が保障されるなら大いに結構である。
それにしても、人間が争いをやめ、互いに平和で暮らす道を探すというのは、なかなか立派な心掛けである。吾輩も、この日は少しばかり主人を尊敬してやってもよいかと思うのである。