12月6日という日は、遠き北の国――フィンランドが、長き支配の鎖を断ち切り、自らを“独立国家”と名乗った日であるという。ロシアという大国の手から逃れ、人々は国王でも皇帝でもない、自分たち自身の議会をもって、自らの意志で国のかじを握ろうと決めたのだ。
吾輩のような猫は、日向ぼっこでもしておればよいが、人間というのは、自らを縛る枠組みを破り、新しい枠を作る。その勇気と覚悟には、しばし毛を逆立てるほどの畏敬を覚える。
雪深き森と湖――フィンランドの冬の静けさの中で、ろうそくの灯りがともされる夜。その灯りは、自由と誇りの象徴。吾輩ももし北の国で生まれていたなら、窓辺でひとつ、その灯を眺めたことであろう。
――これが、12月6日の物語である。