#0142 芦沢央『嘘と隣人』(文藝春秋)
定年退職して一年半になる正太郎は、刑事としてコツコツ働いてきたという自負がある。
出世こそしなかったものの、さまざまな事件に真剣に向き合ってきたつもりだ。
刑事としての職務を全うしたという思いが強い正太郎は、定年後に斡旋してもらえそうな再就職先がいくつかあったが、すべて断った。
家でのんびり暮らす第二の人生も悪くないと思っている。
趣味は園芸。いま住んでいる賃貸マンションの契約が切れるのを機に、庭付きの一戸建てか、マンションの1階に引っ越そうかと考えている。
妻の澄子はさっぱりした性格で、転勤のたびの引っ越しにも、夫の上下関係が生活に影響する官舎暮らしにも全く文句を言わなかった。
むしろ「貯金ができていい」と言ってくれたほどだ。
妻の言う通り貯金があるし退職金も手付かずなので、ローンなしで家かマンションを買えそうである。
娘と孫も自転車で行ける距離に住んでいる。
正太郎は、そんな生活に満足しているのだった。
(芦沢央さん『嘘と隣人』の出だしを、私なりにご紹介しました)
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