2000年、ニデック(旧日本電産)は売上の約8割をHDD用モーターに依存する一本足打法だった。IT不況で赤字転落の危機に瀕した同社は「技術と時間を買う」M&Aへ大きく舵を切る。シーゲイトの工場やエマソン、ヴァレオの事業部門などを次々と買収し、弱点だった車載や大型産業用分野を補完。単なる多角化に留まらず、工作機械まで取り込み垂直統合を進めた結果、売上は1400億円から2兆円超へ、時価総額は25年で数十倍に急拡大した。ニッチな部品屋からEV時代の「世界の総合モーターメーカー」へ進化したポートフォリオ転換の極意がここにある。