カナダのサプートと欧州のアルラフーズは、共に世界的な乳業メーカーだが、その成長手法は真逆だ。上場企業のサプートは株式市場から資金を調達し、北米・豪州・欧州で迅速な企業買収(M&A)を展開。非中核の菓子事業を売却し、乳製品に特化した。一方、協同組合のアルラは、欧州各国の農協との「合併」を通じて規模を拡大した。株主ではなく酪農家への利益還元を最優先するため、急激な買収よりも堅実な統合を選択し、欧州内での基盤強化とブランド育成に注力した。組織形態の違いが、資金調達やポートフォリオ転換のスピードにどう影響するかを示す好事例である。