20260115
吾輩は猫である。正月が過ぎ、寒さが一段と厳しくなってきた一月十五日。人間どもは「仕事」という名の退屈な日々にすっかり埋没し、今日も朝から慌ただしく動き回っておる。
御主人は、テレビに映し出される乱高下する数字や、海の向こうの物騒なニュースを眺めては、眉間に皺を寄せて難しい顔をしておる。猫から見れば、人間がいかに知恵を絞ろうとも、結局は目に見えぬ「欲」と「不安」に振り回されているに過ぎぬのだが。
銭の狂騒曲と、震える大地
この国の株価とやらは、いよいよ天井を知らぬ勢いである。日経平均株価がついに五万四千円を超えたという。人間どもは「史上最高値だ」と浮き足立っておるが、その数字がいくら増えようとも、吾輩の皿に盛られる鰹節(かつおぶし)が増えるわけでもなし。実体のない数字に一喜一憂する姿は、まるで見えぬ獲物を追いかける子猫のようで、滑稽ですらある。
一方で、大地は人間の傲慢を諌(いさ)めるかのように揺れた。岐阜県の飛騨で震度四の地震があったという。人間は強固な建物を建て、自然を支配したつもりでおるが、地球が一つ大きな欠伸(あくび)をすれば、たちまち右往左往する。
さらに、中部電力の浜岡原発ではデータの不正が発覚し、役人どもが立ち入り検査に入ったとか。人間は「安全」を口にするが、その裏で嘘をつき、保身に走る。正直な猫の目から見れば、どちらが「獣(けだもの)」であるか、疑いたくもなる。
異国の主人の「縄張り争い」と、散りゆく命 🌎
海の向こう、アメリカのトランプ大統領は、相変わらず世界の平穏を引っ掻き回しておる。
移民に寛容な「聖域都市」への助成金を打ち切ると宣言し、己に従わぬ者から銭を取り上げる。まるで気に入らぬ猫に餌を与えぬ、意地の悪い飼い主のようだ。さらに、極寒のグリーンランドを買い取ろうと画策し、欧州の主たちを震え上がらせておる。大国の主人が「土地を買う」と宣(のたま)えば、世界中の平穏が猫じゃらしのように翻弄されるのだから、実に物騒な話である。
もっとも悲惨なのはイランの光景だ。反政府デモで二千四百人もの命が失われたという。トランプ氏は遠い安全な場所から「抗議を続けよ」と焚きつけておるが、命を散らしているのは名もなき民草である。人間はなぜ、これほどまでに同じ種族で殺し合いを続けねばならぬのか。吾輩には到底理解できぬ。
孤独という名の「終の棲家」への手助け
そんな殺伐とした世界の中で、少しばかり人間味のある話も聞こえてきた。
上野厚生労働大臣が、身寄りのない独り身の高齢者を助ける仕組みを作ると言い出した。入院や葬儀の手続きを、国や自治体が肩代わりしようというのだ。人間は群れを作る生き物でありながら、最後は独りになることを何よりも恐れる。
「独りで死ぬのは寂しい」という人間の弱さを、国が銭で解決しようとする。猫は独りで生まれ、独りで消えることに何の不安も抱かぬが、人間という生き物は、最後まで誰かに「自分という存在」を証明してほしいらしい。
結論
今日という日は、史上最高値の狂喜と散りゆく命の悲劇、そして老いゆく孤独への不安が、冬の冷たい空気の中で複雑に絡み合っておる。
御主人は、ウクライナの元首相が贈賄の疑いを持たれているというニュースを読み、「どこの国も銭が全てか」と重い溜息をついた。その溜息の数だけ、人間の悩みは深くなる。
吾輩は、株価が六万になろうが、グリーンランドがどこの国のものになろうが、一切関心はない。ただ、この冷たい北風を避け、御主人の足元という唯一の暖かな領土を確保することに全力を注ぐ。人間がいかに複雑な未来を憂えようとも、猫にとっては「今、お腹が満たされ、暖かいかどうか」こそが、真の平和なのである。
あなた様は、この「乱高下する世界」の中で、いかなる「確かな安らぎ」を懐に忍ばせ、いかなる「明日への安寧」を求めますか。