はじめに
台所で一番使う道具は何かと問われたら、迷わずテフロンのフライパンだと答える。
うちには大きさや深さを変えて4つある。
お湯を沸かす電気ポットは置く場所がないという理由で持っていないのにテフロンフライパンは4つ。
毎日使うからこそ、どう選んでどう使うかということを真剣に考えてきた。
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なんとかコートの正体
テフロンフライパンを買おうとすると、やたらと種類がある。
ハードコート、マーブルコート、ダイヤモンドコート、チタンコート。
何がどう違うのかよくわからない。
結論から言うと、これらはすべてフッ素樹脂(PTFE)に何かの微粒子を混ぜ込んだものだ。
まったく別種のコーティングではなく、いわゆるテフロン加工の強化版という位置づけである。
ちなみに「テフロン」はアメリカのケマーズ社(元デュポン社)の登録商標で、正確にはポリテトラフルオロエチレン——PTFEという合成フッ素樹脂のことだ。
とても覚えられる名前ではないのでテフロンと呼ぶ。
各コーティングの中身を整理するとこうなる。
価格と寿命の目安をAIにまとめてもらったので見てほしい。
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一番やってはいけないこと
コーティングを長持ちさせる上で、絶対にやってはいけないことがある。
使い終わった直後に水をかけて「ジュー」と冷やすことだ。
これをやると急激な温度変化でコーティングがすぐに剥がれる。
どんなに高いヤツでも、これを繰り返せばあっという間にダメになる。
手で触れるくらいまで冷ましてから洗う——それだけでコーティングの寿命はまったく変わってくる。
それと空焼き。
PTFEは260℃から劣化が始まるが、何も入れずに強火にかけると1〜2分でその温度に達する。
IHの場合は温度設定ができる機種なら260℃以下に設定しておくのが有効だ。
この二つを守るだけで、コーティングの持ちはかなり違う。
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安物使い捨て論争
テフロンフライパンでよく出る議論がある。
1,000〜1,500円の安いフライパンを1年で使い捨てるのがいいのか、チタンコートの高級品を大切に長く使うのがいいのか、どちらがお得か、という話だ。
僕はティファールのチタン・アンリミテッドを使っている。
メーカーはチタン標準コーティングの6倍長持ちすると謳っているが、実際のところ毎日使って5年くらいが限界だと感じている。
使えなくはないが、新品のときとは別物だ。
5,000〜6,000円のフライパンを5年使えば、1年あたり1,000円ちょっと。
1,000円のフライパンを毎年買い替えるのとほぼ変わらない計算になる。
純粋なコスト計算だけをするなら、安物使い捨ての方が合理的という結論になりやすい。
高いフライパンを長持ちさせようとすると、中火以下厳守・急冷禁止・手洗い必須という制約が生まれる。
これは目に見えないコストだ。
安物なら消耗品と割り切って気楽に使える。
ただ、多くの家庭でコーティングがほぼ剥げたフライパンをそのまま使い続けている。
飲食店でも人の家でも、僕ならとっくに見限る状態のものを使っているケースがほとんどだ。
くっつく・焦げる・洗いにくいという状態で使うのはただ不便なだけだ。
コーティングが切れたら安いペラペラなアルミフライパンだと思った方がいい。
テフロンフライパンは安いのをバンバン使い潰すか、高いのを大切に使って5年持たせるかのどちらかだと思う。
中途半端に剥げたまま使い続けるのは最もコストパフォーマンスが悪い。
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道具はそれぞれの得意領域で使う
テフロンが最強かというと、そういう話でもない。
僕は鋳鉄のフライパンも持っている。
ガラス蓋がついていて、取っ手まで鉄製なのでそのままオーブンに入れることもできる。
これはほぼ焼き物専用だ。
テフロンはといえば、日々の炒め物・卵料理・煮物はもちろん、アスパラガスを長いまま茹でるなんていう使い方もできる。
片手鍋だと切らなければ入らないが、開口部の広いフライパンならそのまま茹でられる。
パスタを茹でる時はフライパンのほうが圧倒的に便利だ。
油を少なく使えるというのも日常の調理では地味に大きい。
最適な調理があって、それに適した器具を使っている。
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おわりに
僕はティファールの取っ手が取れるタイプが気に入っている。
取っ手部分は汚れやすいので、全部きれいに洗えるのはありがたい。
また、重ねて収納できるので、台所が狭い身としてはスペース的にも助かっている。
ただし、重ねるときに乱暴に扱うとコーティングが傷むので、そっと置くという習慣は必要だ。
テフロンのフライパンは、コーティングが生きている間は本当に便利な道具だ。
それをいかに長持ちさせるか——急冷しない、空焼きしない、冷めてから洗う。
たったそれだけのことで、5年使えるか2年で終わるかが変わってくる。
そして、コーティング剥げたら潔く買い替える。
この決断が何よりも重要と僕は思う。