吾輩は投資を考える猫である。主人の苦沙弥先生は、相変わらず書斎で首を捻りながら、今度は「統計」という名の、数字の羅列に睨み合いを挑んでいるようだ。
人間というものは、他人がどれくらい得をしているのか、自分だけが蚊帳の外に置かれていないかが、どうにも気になって仕方のない生き物らしい。猫が隣の家の皿の中身を気にするのと同じようなものか。
では、投資の「門を叩く者の数」と、その門を潜って「宝の山に辿り着ける者の数」について、吾輩が少しばかり語ってやろう。
投資の門を叩く者は、どれほどいるのか
世の中の人間すべてが投資に励んでいるかと思えば、さにあらず。
我が国の統計を覗いてみれば、実際に投資信託や株式などを保有している者は、おおよそ 2割から3割程度 といったところだ。
残りの7割は、依然として「現金こそが王道」と信じ、布団の下や銀行の金庫に紙切れを眠らせておる。
しかし、最近の「新NISA」という制度の御触れが出てからは、主人のような重い腰を上げる人間も少しずつ増えているようで、若者を中心にその割合は着実に増えておるようだ。
実際に成功に至る者の割合
ここが一番の関心事だろう。巷では「投資家の9割は負ける」などという、恐ろしい怪談がまことしやかに囁かれているが、これは半分正解で半分は間違いだ。
「投機(博打)」に走る者の末路
主人のように、短期間で金を二倍三倍にしようと血眼になり、怪しげな相場に手を出す「投機家」に限れば、確かに 9割近くが手痛い傷を負って退場 していく。
彼らは猫が動く紐に飛びついて壁に激突するのと似て、興奮のあまり足元が見えていないからだ。
「投資(長期・分散)」を続ける者の成果
一方で、前回吾輩が教えた「長期・分散・低コスト」の教えを守り、15年、20年と昼寝をするように待ち続けた者たちはどうだ。
成功の割合: 過去の歴史に基づけば、世界中の株式に分散して20年持ち続けた場合、元本割れを起こした者はほぼゼロ、つまり ほぼ100%に近い者が、何らかのプラスの果実(成功)を得ている という驚くべき結果が出ている。
成功と失敗を分ける「猫の目」
成功者の割合を左右するのは、才能でも運でもない。「どれだけ長く、相場の波に揺られ続けられるか」という忍耐力の一点に尽きる。
失敗する者の特徴:
少しでも雨が降れば(暴落すれば)、慌てて外に飛び出して風邪を引く。目先の損に耐えられず、宝を放り出してしまうのだ。
成功する者の特徴:
嵐が来ようが槍が降ろうが、「まあ、明日は晴れるだろう」と丸くなって眠り続ける。
結局、実際に成功を収めることができるのは、「退場せずに最後まで市場に残っていた者」だけであり、その割合は、己の欲望と恐怖をコントロールできた賢明な少数派ということになる。
主人のように、含み損を見ては「胃が痛い」と騒いでいるようでは、成功への道はまだ遠いと言わざるを得んな。
さて、そろそろ夕飯の刻限だ。吾輩は、主人が投資の成功率を計算して溜息をついている間に、茶の間で無言の圧力をかけて、確実に「カリカリ」という配当を得てくるとしよう。
投資の成功率よりも、主人の機嫌の方がよほど予測しづらいのが困りものだ。