話はひーちゃんが9ヶ月になったという事実から始まった。丹羽くんには子供がもう1人欲しいという気持ちがある。理由を問えば、ケアしたいから、という答えが返ってくる。おむつを替えたい、おっぱいを吸わせたい——その欲動は利己なのか利他なのか、二人にはもう区別がつかない。盆栽や観葉植物の世話と、どこかで地続きになっている話だ。
アムウェイの話が出た。老後2000万円必要というのはアムウェイが作ったプロパガンダだ、という仮説が投げられ、二人はそれぞれのアムウェイ体験を語った。渋谷の本社、高層マンションの鍋パーティー、マッチングアプリで会う人の多くがアムウェイだった時代。丹羽くんが発見した最強の対抗手段は、ハンターハンターのクラピカから学んだ沈黙だった——論理ゲームには参加しないこと、ただ黙って立ち去ること。富樫先生に助けられた、と彼は言った。
家族の話になった。実家から遠い長男、母の放射線治療、葬式以外に集まるきっかけがない問題。子供をだしに使うしかないかもしれない、という笑えない結論。七五三のアルバムはまだ両親に渡せていない。でも期限は決めていないから大丈夫、とひとまず棚に上げた。
不条理という言葉が二人の間に置かれた。家族を殺した人間が30年で出所し、罪を償ったことになる社会。個人が感情を押し込めることで社会の規律が維持されている構造への疲弊。遺伝子的視点、物理法則的視点、そういう大きな枠で自分の行動を見ようとしている、という丹羽くんの模索。最終的にどうすれば人間性を失わずにいられるか、まだ答えはない。考えたい、と言った。
そして会話はいつもの場所に着地した——筋トレするしかない。ターゲットにされにくい体を作る、逃げられる筋肉をつける、山奥で自給自足の村を作る。壮大な哲学の問いと、きわめて身体的な結論が、この番組では毎回同じ重さで並んでいる。
死に様をせいちゃんに見せるために生きている、という話が、会話の中にひっそりと落ちていた。こんなやつでも幸せだったんだと、遺伝的に近しい子に伝えたい。それが今夜の、いちばん重い仮説だったかもしれない。