今回はオリジナル曲『その声の主』を、異なる2つのアレンジで公開してみました。
歌詞は同じですが、曲調が変わると受け取る印象も大きく変わります。
ひとつは静かに内側へ向かうバージョン。
もうひとつは、少し温かく希望を感じるバージョン。
どちらもテーマは同じです。
「その声、本当にあなたですか?」
頭の中で繰り返される自己批判や不安の声。
私たちは、それを自分自身だと思い込みやすいものです。
この曲は、エックハルト・トールの気づきと、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)、トランスパーソナル心理学の視点から生まれました。
同じ歌詞でも、曲調によってどんな違いを感じるのか。
よろしければ聴き比べてみてください。
note記事はこちら
https://note.com/kanousei/n/nde044666593e
………
「もう無理だ」
「自分なんてダメだ」
「もっと頑張らなければ」
そんな声が頭の中で繰り返されることがあります。
私たちは、その声をあまりにも長く聞き続けると、いつの間にかその声そのものを「自分」だと思い込んでしまいます。
この曲は、エックハルト・トールの目覚めのエピソードから着想を得て制作しました。
深いうつ状態の中で、彼はある日ふと、
「私は、これ以上こんな自分と一緒に生きていけない」
という思考に気づきます。
そして、ある問いが生まれます。
「そう言っている私は誰なのか?」
「その声を聞いている私は誰なのか?」
その問いをきっかけに、彼は思考や物語としての自分と、それを見つめている意識とを区別していきました。
トランスパーソナル心理学では、私たちは思考や感情や役割だけではない存在だと考えます。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、「観察する自己(Observing Self)」という考え方があります。
不安もある。
怒りもある。
悲しみもある。
だけど、それらを見つめている場所もまた存在している。
この曲は、何かを信じさせるための曲ではありません。
「あなたの考えは間違っている」と伝えたい曲でもありません。
ただ、
“その声は、本当にあなた自身でしょうか?”
という問いを静かに置いていく曲です。
歌詞の中には、「エゴ」「真我」「悟り」といった言葉はあえて使いませんでした。
それは、この曲を特別な人のための歌ではなく、眠れない夜を過ごしたことのあるすべての人の歌にしたかったからです。
誰かに否定された夜。
自分で自分を責め続けた夜。
先の見えない不安に飲み込まれそうになった夜。
そんな夜の片隅で、この曲が少しだけ呼吸のスペースになれば嬉しく思います。
最後まで残るのは答えではなく、静けさかもしれません。
そして、その静けさの中にこそ、本来の私たちはいるのかもしれません。
作詞・作曲:AI × 齊藤弘治
公認心理師 / 臨床発達心理士
「聴くセラピー」オリジナル楽曲
【その声の主】
[Verse 1]
夜中の三時
また目が覚めた
理由もなく胸が重い
部屋の隅に置かれた椅子が
知らない国の景色みたいだった
頭の中で
いつもの声が言う
「もう無理だ」
「もう終わりだ」
何百回も聞いたはずなのに
その夜だけは
少し違って聞こえた
[Pre-Chorus]
待てよ
今しゃべったのは誰だ
そして
それを聞いているのは誰だ
[Chorus]
誰がそう言っている
誰がそれを聞いている
問いだけが残って
世界が静かになる
消そうとしなくてもいい
戦わなくてもいい
ただ見つめた瞬間
声は力を失っていく
[Verse 2]
「お前は失敗した」
「もっと頑張れ」
「お前は足りない」
ずっと私だと思っていた
でも気づいてしまった
その声は私じゃない
空を流れる雲みたいに
現れては消えていく
[Pre-Chorus]
追いかけるから苦しくなる
信じるから本当になる
見ているだけなら
通り過ぎていく
[Chorus]
誰がそう言っている
誰がそれを聞いている
答えを探すほど
言葉は遠ざかる
名前も役割もなく
過去も未来もなく
ただ在るということが
静かに広がっていく
[Bridge]
朝の光
鳥の声
湯気の立つコーヒー
昨日と同じはずなのに
まるで初めて見る世界
[Final Chorus]
誰がそう言っている
誰がそれを聞いている
最後まで残ったのは
説明できない静けさ
私は消えなかった
消えたのは物語だった
何かになる前から
ずっとここにいた
[Outro]
風が吹く
鳥が鳴く
光が差し込む
それだけで
十分だった
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