二十数年ぶりの韓国へ
この夏、久しぶりに韓国へ行ってみようと思っている。
ソウルだ。
よく通っていたのは、たしか二十代の前半から三十代の初めにかけて。
もう正確には覚えていないが、あの頃は年に一度は必ず足を運んでいた。
それが気づけば二十数年、ずいぶん間が空いてしまった。
---
かつての韓国、そして「チョッパル」
一番最初に通っていた頃は、まだ反日の空気が強い時代だった。
僕は広島のYMCAで韓国語を習っていたので、向こうではできるだけ現地の言葉で喋ろうとしていた。
友人と話していると、日本統治時代を知っているようなおじさんが近づいてきて、こう言われたことがある。
「チョッパルがウリマルを喋るな」と。
チョッパルとは豚足のことだ。
昔の日本人が履いていた足袋の形が豚足に似ている、というので、日本人を揶揄する表現として使われていたらしい。
ウリマルは「我々の言葉」、つまり韓国語のことである。
友人は「そんなことを言うものじゃない」とたしなめてくれたが、僕はその場で複雑な思いを抱えていた。
ポリティカルコレクトネス的には、たしかにその発言は許されないのかもしれない。
だが、その人にはその人の歴史がある。
個人の経験や体験というものは、正しさの物差しだけで否定できるものではないのだ。
韓国における反日は、語り始めるととてつもなく長くなるので、また別の機会に譲りたい。
ただ一つ言えるのは、これは「あいつが嫌いだ」という友達感覚の好き嫌いとは、まったく別物だということ。
地政学的な問題、歴史的な問題、さまざまなものが噛み合っている。
そもそも韓国は今も戦時下にある。
北朝鮮とは休戦しているだけで、徴兵制もある。
そういう背景まで全部ひっくるめて、日本に対する感情があるのだ。
個人と国は違う。
個人レベルでは、特に若い人を中心に、日本にフレンドリーな気持ちを持ってくれている人が驚くほど多い。
ただ、国として反日に傾いている時期には、彼らもおおっぴらに言えなくなる。
幸い今はそこまで悪くない時期なので、久しぶりに行ってみようという気になったわけだ。
---
AIが変えた、旅の下調べ
そこで調べ始めて、まず驚いたのがAIの威力だった。
これがもう、笑ってしまうほど使える。
僕が通っていた二十数年前は、本で調べて行くしかなかった。
宿もこちらから予約するのが難しかったから、現地に着いてから何軒も回って値段を聞き、部屋を見せてもらい、「高いな」と思えば別の宿へ、ということを延々とやっていた。
それが今はネットで予約できる。
当たり前のようだが、あの頃を知る身にはめちゃくちゃありがたい。
しかもAIに調べさせると、ハングルで書かれた現地のウェブサイトまで全部参照してくれる。
だから精度が高い。
自分で調べても、そこまではやらないからだ。
ホテルのリサーチも、移動手段も、交通カードの入手方法も、どこで何をいつ食べるかも、行きたい店の定休日まで含めて、全部ざっと調べてくれる。
その上で、旅程のどこに組み込むのがいいかまで組み立ててくれるのだ。
「この店はこの時間に休憩が入るから、こう回りましょう」「ここからの移動は地下鉄よりタクシーがいいですよ」——そういう提案までしてくれる。
海外旅行のプランニングにここまでAIが使えるのかと、僕はすっかり感動している。
---
旅のしおりを、AIに作らせる
それらをまとめて、僕は「旅のしおり」を作った。
いや、正確には作ってもらった。
「全部まとめて一覧にして、分かりやすくして」と頼むと、「では旅のしおりを作りましょう」と応じてくれたのだ。
どこに泊まるのか、飛行機は何時でどういう予約番号か、入国審査から両替、T-moneyという地下鉄やタクシーで使えるカード、カカオTという配車アプリの使い方まで、全部そこに書いてある。
旅行会社のツアーに参加すると、何時にどこ、何時にどこ、夕食はここ、といったしおりをくれるものらしい。
ほとんど参加したことがないので想像だが、あれの自分専用版を、自分の手を動かさずに作れてしまうということだ。
こういうしおりは、プリントアウトして紙で持っておくと、トラブルのときに本当に役立つ。
移動手段も、行きたいレストランの営業時間や定休日も、全部入れてある。
僕は博物館が好きなので、開館時間や休館日、日本語ガイドの有無、料金までひとつにまとめてある。
山歩きもするつもりなので、そのあたりの情報も含めて、ありとあらゆるものを詰め込んだ。
これも自分でいちいち作ったのではなく、僕の場合はクロードに全部作らせた、というわけだ。
---
トラブルこそ、旅の醍醐味
もちろんAIは完璧ではない。
時々間違える。
よく確認しないと「おい、ここ違うんじゃないか」というのが紛れているので、そこは少し怖い。
ただ、トラベルの語源はトラブルだ、という説があるくらいで、もしAIがミスをしていたら、それこそ自分の力量の見せ所である。
海外でどれだけトラブルを回避できるか——それも含めて旅の醍醐味だと思っている。
僕は徹底的に調べ尽くしてから動くタイプだが、それでも旅先では必ずトラブルが起きる。
だからその時は「よし、俺の出番が来たぜ」という感じで対応する。
完璧に決まっていたらその通りにやればいい、というのは嘘で、旅行中にそんなことはまずない。
だが完全に下調べをしておけば、いざという時に対応できる。
ギリギリまで詰めて考え、その上で余裕を持って動く。それが僕のスタイルなのだ。
海外旅行のプランニングは、もうAIのものだと思う。
今回はかなりのボリュームの作業をさせたので、おそらく無料のプランでは難しいだろう。
それでもまだ完全ではなく、自分の中ではもう少し詰めておきたい部分が残っている。
なんだか、次のソウル旅行、いい感じに楽しめそうな気がしてきた。