1,800円の授業料
家の電灯が切れた。
パナソニックのパルック プレミアX、どこの家にでもある、ごく普通のLEDだ。
昼ご飯を食べに出たついでに、近くの店で買って帰った。
会計のとき、思いのほか高かったので、そんなに高いもの買ったかな?とレシートを見たら、LEDが5,500円だった。
こんなにしたかな、と首をかしげながら帰って、念のためネットで調べてみると、ヨドバシカメラでは3,700円ほど。
差額は1,800円だった。
5,000円そこそこの製品で、1,800の差は大きい。
なぜ調べてから買わなかったのか、しばらく悔やんだ。
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染みついた癖は、ふとした拍子に出る
僕は昔からのネット通販派だ。
まだみんなが「怖い、怖い」と言っていた時代から使っていて、楽天が初期ユーザーにペンケースを無料で配ってくれたことがあり、それを今でも大切に使っている。
歯磨き粉のシュミテクトコンプリートワンも、ネットのほうが安いからそちらで買う。
常に2つはストックしている。
この電球も、以前はストックしていた。
それなのに今回はつい店に走った。
僕くらいの年代の人間は、子どもの頃から「店に行って何かを買う」という習慣が骨の髄まで染みついている。
これだけネットで買う癖のついた僕ですら、ふとした拍子にそれが出てくる。
1,800円の授業料だ。
すぐにヨドバシで一組注文しておいた。
家には同じ電灯が三組使われているので、次にどこかが切れても、買いに走らずに済む。
LEDは寿命が年単位で、前回の交換時の教訓を忘れてしまうのが厄介なところだ。
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高い買い物ほど、AIに聞く
これからの買い物は、ネットで検索するだけでなく、高いものほどAIに相談する時代になると思う。
電灯くらいなら5,000円で済むが、10,000円、50,000円ともなれば、庶民はそう気軽には買えない。
思い切って買うときほど、AIと壁打ちする価値がある。
モニターを買ったときも、AIと長くやり取りして、思いもよらないメーカーを勧められた。
調べてみると、機能もサイズも、何より値段と性能の釣り合いも合理的で、今も満足して使っている。
コーヒーミルも同じだ。
豆で買うので毎日挽く。
ずっと候補だったタイムモアのブリックスは海外の製品で、円安が進むと次のロットから値上がりしそうだった。
だから在庫のあるうちに買った。
珈琲の味は格段に良くなった。
車なら、なおさらだろう。これまで性能を自分で比べるのは好きな人にしかできず、多くはデザインで決めるか、販売店のセールストークで決めていた。
AIに「こういう車が欲しい」と伝えれば、メーカーを横断してフラットに答えてくれる。
もしかすると中国のBYDが一番ニーズに合う、という結論だってありうる。
先日のNHKスペシャル「インサイド・トヨタ」は面白かった。
世界一のメーカーが、BYDやテスラを前にどれだけ危機感を抱えているかが、よく伝わってきた。
僕は県庁時代にマツダとの仕事もしていて、中の人を知っているぶん、余計に他人事とは思えなかった。
https://www.web.nhk/tv/an/special/pl/series-tep-2NY2QQLPM3/ep/7WP78VLKVV
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作る側も、AIに聞けばいい
面白いのは、これが作り手の側にも効くことだ。
客がAIに「自分に最適な製品は」と尋ね続ければ、そのニーズが積み上がっていく。
だとすれば、作る側もAIに「こういう客はこの機能を望みますか」と聞けばいい。
アンケートを取るより、AIというフィルターを通したほうが、よほど的確な顧客像が返ってくる。
そうなると、世の中の8割が好むような「最適解オブ最適解」が作りやすくなる。
これまで日本の家電は、要りもしない機能を足してはボタンを増やし、使いにくく高くなる悪循環で凋落した。
そこにハイアールのようなシンプルな製品が侵食してきた。
「この機能、客は望んでいますか」とAIに聞いて「ごく一部のマニアだけです」と返ってくれば、作らなくなる。
車や家電、日用品は、7,8割がたマスの部分で集約が進むかもしれない。
残りのニッチや高性能なものは当然残るし、化粧品や食料品はもう少しばらけるだろうが。
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そのうち、AIにも広告が来る
ただ、話はここで終わらない。
かつて日用品は広告やCMで客に買わせるのが当たり前だった。
今もレストランの世界ではインフルエンサーマーケティングが生きているが、あれも結局は広告の一種だ。
要は、広告そのものが消えるわけではない。
みんながAIに聞いて買うようになれば、売りたい側は今度はそのAIに働きかける。
OpenAIやGoogleにスポンサー枠のような形でお金を払い、自社製品を優先的に紹介してもらう——そういう流れが必ず出てくる。
今はまだ、僕の知る限りないように思う。
だが次のiPhoneがGeminiを積めば、GoogleやAppleのサービスを優先的に返すようになるかもしれない。
イーロン・マスクのGrokなら、「あなたにはスターリンクが一番です」と言い出しても不思議はない。
おそらくこれは、AIの標準的な進化だ。
無料で使うなら広告を出す企業の製品が真っ先に出てきて、課金すれば完全にフラットな情報が返る。
NetflixやYouTubeが辿った道と同じで、AIがメディア化すれば当然そうなる。
かなりステルスに近い形だから、ステマ規制との関係も問われるはずだ。
だからこそ、今はいい時期なのだと思う。
AIを使って結構フラットに物を選べる。
この状態がいつまで続くかは分からない。
広告のうっとうしさが、AIの世界にもやってくる——そう考えると、少しうんざりするが、今のうちに壁打ちしておこうと思う。