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【黄色の薔薇】
「久しぶり元気?ちょっと相談したい事があってさ〜明日 空いてる?」
明日は私がお休みの日
計算高い彼女は偶然のようで狙っていた
「ゴメン明日は予定が入っていて…」
そう言えたらどんなに気が楽なんだろう
ルナは短大時代に知り合った
明るい彼女の話しは どこか浮世離れしているのだが腹が立つ事に
私の知らない世界を教えてくれた
「じゃ明日 駅前の珈琲館に2時でいい?」
「いいよ」
そう答えながら
(何で相談する人の住む街に私が行かないといけないの?)
心がほんの少しチクっとした
ルナが珈琲屋に現れたのは
2時15分
「ゴメンね〜出かようとしたら友達から電話入っちゃって」
この言い訳は 過去に10回以上も聞いている (相変わらずだな)
「明子ここのパンケーキ美味しいって言ってたから ここにしてあげたんだよ」
(あなたとのお茶はここがお似合い)
「そーなんだね」
(インスタの投稿では代官山や青山で三段重ねのアフタヌーンティー週一でアップしてるのに…)
「相変わらず明子は可愛い」
(まだポニーテールしてる垢抜け無いんだよなぁ〜)
「ルナは忙しそうね」
(このワード彼女の大好物とりあえず言っとこ」
「ぜ〜んぜん暇 夏は暑いから
家が一番 でもそれは今月 先月は
一カ月のうち25日は出かけてたかなぁ〜」
(少し話し盛っとこ)
「で 相談て何?」
(ここで先月は何してたの?なんて聞いたら彼女の演説会が始まって面倒だから)
「アッコはお花屋さんだから
詳しいかな?と思って」
(アッコの方が喜ぶよね)
「うん まぁ仕事だからね」
(何か嫌な予感)
「来月 私のだーい好きなお友達のお誕生日が三件もあって」
(私は交友関係広いので)
「見て〜このパンフレット
どのフラワーアレンジがオシャレに見える?」
(これ日比谷花壇のバンフ 明子のような街の小さなお花屋さんとは違うのよ笑)
「ん〜どれどれ?」
(ここで貴方が見たいのは私の悔しがる表情
意地でも出さない)
「迷っちゃうんだよね相手は港区女子だし」
(とりあえずセレブ感を伝えなきゃ)
「私なら これにするかも?」
(相手 知らないけど)
「アッコ相変わらず堅実だね値段で決めた?」
(私はアレンジメントより切り花の花束と決めているのよ)
「季節の花を素敵にアレンジしてあると思うけどなぁ〜」
(私は値段では選ばないのよ)
「ありがとう参考にさせてもらうね」
(もう決めてあるのだけどね)
「お役に立てたらいいのだけど」
(私が細々と小さなお花屋を始めたの知ってるのに これは何?)
「ゴメンね 私ってバカだから
アッコがお花屋さんやってるのに
これは無いよね」
(とりあえず無自覚では無い事を伝えとこ)
「このコーヒー美味しい」
(出ました彼女の勝ち誇った顔)
いつも そう
私を見下して彼女は満足してる
私はマウントを取ろうなんて薄っぺらい考えは無い
でも事実を伝えたら彼女は平伏すのだろう…
「実は私 来月 結婚するの
まだ お店を持ったばかりだから悩んだのだけど君がお花を大切に思う気持ちは尊重したいから
自宅で海外セレブの方々に
生花を教えてあげるのはどうかな?って言われて…名前を聞いたら TVでご活躍の方ばかりだし 私 英語は苦手だから…
一度はお断りしたのだけど
君の作品を気に入ってる方は多いって…
これから 色々と準備もあるし
ルナほどでは無いけど
私も忙しくなりそうだから…
多分 ルナに会えるのは今日で最後になる」
この十年 ルナには
煮湯を飲まされて訳が分からないうちに
サンドバッグのように彼女のストレス解消に私は使われていた
彼女に泣かれると放っておかない自分がいたのだけど
私にも限界がある。
怯えるような目で彼女が言った
「結婚式には友人代表として私が…」
彼女の声を遮った
「私は今まで私を大切にしてくれた
ホントの友人しかご招待して無いの
彼と席次ももう決めてあるし
祝辞は 短大時代 貴方がいつも
バカにしていた 純子に お願いしてあるの 彼女のお店 知らない?
貴方が良く行っている 青山の駅前にある
ブライダルのお店のオーナーよ
私のウェディングドレスも彼女と一緒に選んだの」
ルナは震えていた
タイミング良く携帯が鳴った
「ルナ申し訳無い 私これから
約束かあるの そうだ今日 ルナに
プレゼントがある 良かったらお部屋に飾ってね」
私は 彼女に小さなアレンジメントを渡した 黄色のバラ
花言葉は 「嫉妬」 。