1982年、二浪目。
受験にまた失敗した僕は、求人情報誌を見て、吉祥寺駅前の牛丼屋で深夜バイトを始めました。
夜10時から朝6時、あるいは深夜0時から朝8時。
やる気のない店長。
大学を中退して社員になり、学生バイトから「お父さん」と呼ばれていた人。
やたら威張る先輩。
今思えばティモシー・シャラメみたいだった、美少年の後輩。
深夜には、酔っぱらったミュージシャン同士のケンカや、朝帰りらしい人たちもやって来る。
そんな少し奇妙な夜の牛丼屋で、毎朝6時45分きっかりに現れる、七三分けのサラリーマンがいました。
注文はいつも、
「ライス、たまご」
その人の姿がガラス越しに見えた瞬間、クセの強いバイト仲間たちが、なぜか見事なチームになる。
そして仕事が終わると、僕は予備校ではなく井の頭公園へ。
みんなの一日が始まる朝に、二浪中の自分だけは、まだどこにも所属していないような時間を歩いていました。
1982年。
深夜の牛丼屋から見た吉祥寺と、二十歳の頃の話。
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