1. 行動主義とは?
行動主義は、行動がどのように形成され、変化するのかを探求する心理学の一分野です。特にB.F.スキナーという心理学者がこの分野を発展させました。行動は環境との相互作用によって形成される。
2. 行動の定義と重要性
行動とは、観察可能な活動や反応を指す。「生きている人しかできないこと」。「~しない」とか「~しないようにする」は行動ではないことが多く、行動分析学では扱わない
3. 徹底的行動主義
徹底的行動主義は、行動の科学的理解に焦点を当てています。行動を「刺激」と「反応」の関係で捉える。
研究者自身の行動も「制御する」「制御される」という相互的な関係にある。
4 応用行動分析学
応用行動分析学の目的は、行動を予測し、制御すること。社会的に重要な行動に焦点を当て、その行動を改善するための具体的な方法を提供します。教育現場や医療施設などでの支援プログラム。
応用的(Applied): 社会的に重要な問題を解決すること
行動的(Behavioral): 行動そのものに焦点を当て、観察可能な変化を重視
分析的(Analytic): 行動と環境との関係を明らかにするために、科学的手法を用いる
技術的(Technological): 介入方法が明確で再現可能であることが求められる
概念体系的(Conceptually Systematic): 理論と実践が整合性を持っていることが重要
効果的(Effective): 実際に効果が確認されることが必要
汎用性(Generality): 様々な場面で適用できることが求められる
5.機能分析
行動分析学では、行動の背後にある目的や機能を分析する。特定の行動がどのような状況で発生するのか、その行動が何を目的としているのかを理解することで、より効果的な介入が可能になる
特定の行動が「注意を引くため」や「快適さを求めるため」に行われることがある
6.個体と環境の相互作用
私たちの行動は、周囲の環境によって影響を受け、同時に私たちの行動が環境を変えることもある。このような相互作用を理解することは重要。
例)教師がクラスで特定の行動を強化することで、生徒の行動も変わり、教室の雰囲気が改善される。学習環境を整えることで、集中力を高めることができる。
7. 介入の系統性
介入手続きを系統的に整理し、効果を評価することが求められる。目標行動、介入方法、評価方法などを明確に。
シングル・ケース研究デザインは、特定の個人や状況での介入効果を詳しく分析する。特定の環境条件の変化に対する行動の変化を観察し、介入の効果を明確にすることが可能。
8 介入とその効果
行動の改善を目指すために特定の行動を強化したり、減少させたりする。
介入プログラムは、時間数、ターゲット行動の多さ、スタッフの専門性によって影響を受ける。実践現場で成果を得るためには、運用上の制約に適合させながら、その内容を系統的に変え、介入し、効果を評価することが必要。
介入の効果を測定するためには、実際の行動を観察し、記録する必要があります。これにより、どの介入が効果的であったのかを明確にすること。
実際の行動の測定や、インタビュー、行動チェックリストなどの方法を用いて、介入の効果を多角的に評価。
介入の効果を測定する際には「社会的妥当性」も重要で介入が実際に対象者にどのように受け入れられ、どの程度満足されているかを評価する。
9 言語行動の分析
スキナーの著作「Verbal Behavior」では、言語がオペラント条件づけによって獲得されることが示されています。
言葉を使う行動は、聞き手の反応によって制御され、話し手と聞き手の行動は相互に影響し合っている。言語行動は、他者とのコミュニケーションを通じて、環境との接触を持ちながら機能する。
言語行動には、他者とのコミュニケーションとしての働きと、環境との接触から離れた微小な言語反応を生成する働きがあります。これらの働きによって、言語行動がどのように機能するのかを理解することが重要。
「つらい」という言葉を自らの行動で説明することで、言語行動を強化します。逆に言語行動が微小化すると、環境との接触が失われ、問題行動を引き起こすことがある。内的刺激が強調されすぎると、外部との接触が減り、社会的な相互作用が不足することがあります。この場合、介入としてマインドフルネスやアクセプタンス&コミットメント・セラピーが有効。
身体感覚をタクトし続ける練習があります。例えば、腹式呼吸の際に「ふくらみ」「ちぢみ」とタクトを繰り返すことで、内受容感覚刺激と反応の行動随伴性を経験することができる。
【参考文献】
山本(2021)徹底的行動主義と応用行動分析学 ――ヒューマンサービスの科学・技術の共通プラットホーム――,
Japanese Journal of Behavior Analysis
2021, Vol. 35, No. 2, 128–143
【ベストコメント賞】
温めて下さいね、お腹
#行動 #心理学 #公認心理師 #臨床心理士 #子育て #学校 #学生 #読書