WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children:児童用ウェクスラー知能検査)‐Ⅴ
1.発達障害の疑いのある子どもの増加
・「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒」(文部科学省, 2012)
・発達障害が疑われる児童生徒はクラス8.8%ほど在籍する可能性がある(文部科学省, 2022)
※ ただし担任が傾向があると見立てた数であり正確性には課題がある
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早期の専門的支援の必要性
・通常学級の教員の多くが合理的配慮に取り組んでいる(渡邉・大 久保・岡本・古川, 2015)。
・通級指導を受ける児童生徒は16万人を超えており、直近10年間で3倍近くに増加(文部科学省, 2022)。
・発達障害が疑われる児童生徒には、教育相談や校内専門委員会等での適切な教育支援の場の検討や医療機関における診断を勧められる
2.WISCの概要
・主に学童期の知能水準や認知能力の測定で世界中で最も使用されている心理検査。
・最新版WISC-V(2022年2月刊行)
【構成】
・16の下位検査で構成される。
・全検査IQは5主要指標(7下位検査)で算出…「言語理解(類似・単語)」「視空間(積木模様)」「流動性推理(行列推理・バランス)」「ワーキングメモリー(数唱)」「処理速度(符号)」
・主要指標(下位検査)の構成
① 言語理解(類似・単語)
② 視空間(積木模様・パズル)
③ 流動性推理(行列推理・バランス)
④ ワーキングメモリー(数唱・絵のスパン)
⑤ 処理速度(符号・記号探し)
・補助指標の構成
全般的な知能を測定する主要な指標を補完するために使用され,特定の能力や認知機能を細かく評価することを目的としている
① 量的推理(バランス・算数)
② 聴覚ワーキングメモリー(数唱・語音整列)
③ 非言語性能力(積木模様・パズル・行列推理・バランス・絵のスパン・符号)
④ 一般知的能力(類似・単語・積木模様・行列推理・バランス)
⑤ 認知熟達度 (数唱・絵のスパン・符号・記号探し)
「全検査IQ」+「主要指標10主要下位検査」+二次下位検査の「語音整列」「算数」で、全部で12の下位検査の実施を推奨されている。
児童生徒の評価に利用できる11指標が得られる
3.WISC-Vの改定の要点「発達障害に関するアセスメント機能の向上」
WISC-Ⅳ(2010年)からWISC-Vのバージョンチェンジにより
・従来の鍵概念であった「言語性IQ」と「動作性IQ」は廃止
→ 全般的な知能水準を表す全検査IQに統合
・特定の認知領域の知的機能として「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4指標得点を10の下位検査から算出できるように
・主要下位検査のうち7つの下位検査を実施すれば全検査IQが算出可能
→ 児童生徒の知的発達水準を把握したいときに便利に。
・日本版WISC-V刊行委員会(2022b)の推奨する12の下位検査を実施すれば、11の指標を得られる。
・主要指標が1つ増えて5つになり、さらに5つの補助指標が設定されたことで、更に詳細な解釈が可能に。
例)主要指標において不自然な差異が出たり、児童生徒の検査中の行動に特異性が観察されたりした場合の情報を取得できる。
・学習障害を判断する際、学力の弱みに関連する認知処理過程の特定が求められるため、補助指標が有益。
・5歳から評価可能(原版は6歳)
【参考】
小貫(2024)「日本版WISC-Ⅴの解釈指針モデル」の作成の試み, 明星大学発達支援研究センター紀要 MISSION March/2024 No. 9
【ベストコメント】
療育は早期がいいよ!という考え方は、だいぶ広がっている気がします☆
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