前提
日本版WISC-Ⅳ検査・知能を4つの指標でしめしていた。そのうち、「ワーキングメモリー」と「処理速度」の指標得点が低い子どもがADHDの傾向を示すと考えらえた。
しかし視覚的情報の記憶や処理が苦手なのか、聴覚的な情報の記憶や処理が苦手なのかの判断が難しかった。
・4つの指標の内「知覚推理」は「視覚空間+流動性推理」だったので、「視覚空間」や「流動性推理」の特徴が把握できなかった。
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WISC‐Ⅴ…「知覚推理」をVSI「視空間」とFRI「流動性推理」とに分けた
1.流動性推理能力を高める(?)方法
・流動性知能は前頭前野の働きと関係が深い
・思考力、 判断力、集中力を必要とする
・デュアルタスク…2つの行為を同時に進行する
音楽を聴きながらウォーキングをしたり、歌いながら家事をしたりする。リトミックは音楽に合わせて歩行したり体を自由に動かしたりと、音楽的な能力だけでなく、表現力、想 像力、集中力、思考力などを引き出す
① デュアルを用いた運動プログラム(安光 2021)…脳活性度の得点が上昇し、さらに、プログラム終了後に上昇して高得点になる事例も多く確認された
② デュアルタスクトレーニング(杉原ら 2021)…健康な若年成人に、姿勢の揺れを両脚立ちと片脚立ちで測りながら、記憶課題を行った。
記憶課題…姿勢の揺れを減少させる
片脚立ち…姿勢調節課題が前頭前野の活性化を介して記憶力を向上させた
・調理
献立を立てるところから調理過程のすべてにおいて思考力と判断力、集中力が使われる。
前頭前野の背外側前頭前野の活性化(作業の記憶や行動の戦略立案、問題解決、対応す べき規則の変化への対応などに関係)。
親子調理をした子どもの脳機能検査で得点が向上。(山下 2014)
・音楽
能動的音楽聴取は受動的音楽聴取時と比べて前頭葉の賦活化を、音楽聴取のみよりも音楽に合わせリズムをとり、体を動かすことで脳機能の活性化や心理の改善につながる(池内2018)。
クラシック音楽のみ作業時の音楽効果は左外側前頭前皮質の賦活量の上昇と関係する(新井2012)
2.親子で遊ぶことの大切さ
親子遊びの中から「流動性推理」にかかわる様々な力を培うことができる…親子で楽しく会話しながら、ルールを学び、社会性を身につける、思考力、創造力、集中力などを駆使して取り組む
例)将棋、オセロ、カードゲーム、絵本の読み聞かせ、ままごと、宝探し、かくれんぼ、サッカー、キャッチボール、バドミントン、テーブル卓球、積み木、レゴ、折り紙、段ボールハウスつくりなど
【参考】
田中・鈴木(2022)日本版WISC-Ⅴの改訂点に見る新たな展望, 豊岡短期大学論集 第19号
【ベストコメント】
「あきねさんは黄色い線の内側におられる感じがする」」という本を肉声で聞かせるのがいいみたいですからね(笑)
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