※音声中、お名前の読み違いをしております。
「かみかわ」涼子さんです。
大変 失礼いたしました。すみません。
現代短歌賞の発表号を読み返していればたぶん防げた…
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歌集『水と自由』より
上川涼子『水と自由』
霰かとさだめて聴ける音のうち冬の蹄も遠く響けり (P56)
レム睡眠に瑠璃色の河ふかまれり七つの昼の底なる夜を
(P63)
クレスカは花冠のごとく文字に咲きスタニスワフ・レム スタニスラフ・レム
同じ川に二度は入れず真鍮のちひさき把手(ノブ)を引きてもどれり (P72)
フルートを吹く夢だつたフルートは破れたビニール傘の柄(え)だつた (P82)
繰りかへす日々をしづかに引き受けて鳥賊の甲ほど薄き石鹸 (P133)
ダンサーが高く跳ぶのは軽いからではない。
と書き留めき譜面に (P160)
全天が繊月を得しこのゆふべ行き交ふ人の荷のひとつ、鍵 (P184)
なめらかな陶器に罅のあるごとく人の眼に血管はしる (P202)
↪︎ 夏の午後に君の瞳のコンタクトレンズの縁の薄さ見つめる/竹内亮『タルト・タタンと炭酸水」』
あなたより一回多く振りかへる帰路のこの平凡なさみしさ (P207)
降りだしてそれは腋窩のやはらかさだつた桜の花にまなことぢゐつ (P216)
浜辺ではないのだけれど靴を脱ぐきみは浜辺でさうするやうに (P220)