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深く探れば探るほど、認知症のBPSD(行動・心理症状)には共通点があることに気づきました。それは「心の乱れ」です。不安、焦り、怒り、混乱、眠れない夜。これらは決して“性格”の問題ではなく、その人の内側で起きている「状態」の表れです。
では、その状態はなぜ起きるのか。私が辿り着いた一つの答えが「呼吸」でした。呼吸は人間の根源であり、生命のリズムそのものです。浅く速い呼吸は身体を緊張させ、心を不安定にします。一方で、ゆっくりとした呼吸は、副交感神経を優位にし、脳と心に「安心」を取り戻します。
BPSDが強く出ているとき、説明や説得はほとんど届きません。必要なのは正論ではなく、まず“整える”こと。呼吸が整うと、心が静まり、表情が変わり、行動も変わっていきます。
呼吸は介護の前にあり、言葉の前にあります。
認知症介護とは、その人を変えることではなく、その人が自分に戻れる状態を支えること。あなたは今、目の前の人の「呼吸」を感じていますか?
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