phase01_2 赤ちょうちんの本棚
あるカフェの本棚から始まった
刻々と変わる地域の過去~未来の物語
「郷土本・・・」
気になりつつ仕事を続けていましたが、また仕事場を留守にすることにしました。駅前に赤ちょうちんが目印の隠れ家があります。一見、お店だとは分からないような昭和の木造平屋建てで、薪ストーブの煙突が壁からヒョロリと延びています。締まりの悪い木製の扉を開け、ホテルのユニットバスほどの高さの敷居を超えて店内に入ります。
やはりここも旅人がマスターで、しかも三代目だと聞いています。
郷土本が気になっているという話をしました。すると、カウンターの脇にある腰壁の上の引き戸をガラリと開けました。向こう側には漫画から写真集まであらゆる本が眠っていて郷土本もあります。
写真家の作品集、童話作家の絵本、方言をまとめた本、渓流釣りの本、自然いっぱいの写真絵本。どれもこの町の貴重な情報ばかりです。しかも、全国の書店には並ばないような、この町でしか揃わないような、そんな本ばかりです。それに、この町の出身者による本も複数あります。ご当地本と言えるようにも思えます。
色々な本を出してきてくれる三代目マスターがこうも教えてくれました。
「郷土本なら温泉宿にもあるよ」
「宿ですか?」
そう言いながらもう一杯珈琲を注いでもらいました。赤ちょうちんとはいっても、普通に珈琲も飲めます。見方によってはカフェでもあり、バーでもあり、大衆食堂でも立ち飲み居酒屋でもあります。和も洋もアジアンも関係ありません。美味しい珈琲です。
ある宿の公式サイトをスマホの画面越しに眺めていました。昨年リニューアルしたばかりのこの町の宿です。写真には渋い焦げ茶色の木製ルーバーがスマホの画面一面を埋め尽くしています。ふと、ルーバーの壁を隔てた反対側に本らしきものが飾られていることに気づきました。
「これ、本だよね」
「本のディスプレイだね」
心の中でワクワクを感じていました。仕事場に戻ると、住んでいる町にも関わらずその宿の予約をしました。車で20分も行けばそのデザインされた本棚なんてすぐ確かめられるのに。
phase01_3 竹の宿の本棚 へ続く
※この放送はstand.fmのAIテキスト読み上げ機能で作成されています。