phase02_4 薄い理由
あるカフェの本棚から始まった
刻々と変わる地域の過去~未来の物語
学生たちのキッチンカーは隣町でフルーツ飴を出していました。彼らは地域の特産品やフードロスも扱います。蕎麦味のプリンもそのひとつです。
「イチゴ飴ひとつください」
と言うと、前もってこしらえていたイチゴ飴が冷凍庫から出てきて、代金と引き換えに受け取ります。イチゴを包む甘い飴がパリッと割れ、イチゴの酸っぱさが顔を出します。飴を溶かす温度とかプロの指南がないと綺麗にコーティングできないようですけど、味も見た目も上手く仕上がっています。
「地域おこしになりそうなアプリ作ってるんだけど」
アプリを学生たちに見てもらいました。QRコードを読み込めば学生たちのスマホにも簡単に表示できます。
「へぇ~」
と、スマホを覗き込みます。トップページの上半分は横スライドするお店の本棚の大きな画像が並び、下半分は上下にスクロールできる本棚風にデザインした3列の書影が並びます。タップすると各々詳細情報が表示されるのですが、
「(薄っ)」
どうも反応が薄いんです。あのカフェのふたりと同じようにアプリになっていることに驚きはするものの、それが郷土本である意味が見いだせないようです。
それもそのはずです。私すら郷土本を集めてどうしたいのかが曖昧。学生さんたちにそんな曖昧なアプリを見せたところで感想なんて出しづらいに決まっています。
「インセンティブが・・・」
インセンティブとは、アプリを使ってもらうための刺激や動機です。例えば、ポイントが貯まるとか、プレゼントが当たるとか。このアプリにそんなインセンティブ要素がないという指摘です。
痛いところを突かれました。以前、住んでいるこの町の情報を集めたアプリを運営していたことがありました。2年経った先月、やめたばかりです。新聞やテレビでも紹介されたのにです。理由は簡単。住民の誰にもメリットを感じてもらえなかったから。今回は同じ失敗を繰り返しているし、振り出しに戻った気分です。でも、早く気づけて良かったのかもしれません。
それからちょっとの期間、軽く暴走することとなります。小さなあがきですが、やめずに進み続けたことで新たな局面もやって来るのでした。
phase03_1 不要な足し算 へ続く
※この放送はstand.fmのAIテキスト読み上げ機能で作成されています。