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快食ボイス726・インネパ店はなぜ揺れているのか──ビザ厳格化の背景

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はじめに 最近、街中のいわゆる「インネパ店」。 つまりネパールの人が営むインド料理店が存続の危機にある、という話をよく目にする。 ところがネット上では情報が錯綜し、ガセネタも多い。 何が起きているのか、背景を整理してみた。 --- 2019年の転換点 話の起点は2019年にある。 それまで入国管理を担っていた「入国管理局」は、組織改正によって出入国在留管理庁 へと再編された。 これは単なる名称変更ではない。 - 技能実習制度への国際的批判 - 人手不足の深刻化 - 外国人労働者受け入れ拡大の必要性 これらを背景に、「管理を強化しながら受け入れる」という方向へ舵が切られたのである。 同時に創設されたのが、いわゆる特定技能制度 である。 飲食業も対象となり、「労働目的」で来日する人の制度的ルートが整備された。 --- なぜインネパ店が増えていたのか ここが重要だ。 特定技能ができる前、飲食業は技能実習の対象ではなかった。 つまり、レストランで働くための在留資格がほぼ存在しなかった。 では、どうしていたのか。 そこで使われたのが「経営・管理ビザ」である。 これは、日本で会社を設立し、投資を行い、経営することを目的とした在留資格である。 資本金500万円以上などの要件がある。 書類さえ整えば比較的通りやすかった時期があり、実質的に「在留のための経営」という構造が一部で成立していたと考えられる。 街でよく見る光景を思い出してほしい。 - お客がそこまで多いわけではない - メニューはどこも似ている - 味の差別化や経営努力が強く感じられない 僕はかなり食べ歩く人間だが、「なぜこれで続くのだろう」と感じた店は少なくない。 売上最大化よりも、在留資格維持が優先となっていた可能性は否定できない。 --- 運用が厳しくなった 法律自体が劇的に変わったわけではない。 しかし運用が変わった。 - 出資金の実在性 - 事務所要件 - 経営への実質的関与 - 事業の継続性 そして何より、 - 2年以上の赤字 - 社会保険未加入 - 税務の不備 これらが更新時に厳しく見られるようになった。 ビザには更新がある。 新規許可時には問題がなくても、更新時には現在の基準で審査される。 重要な法律上の概念は「遡及適用の禁止」である。 過去に適法だったことを後から罰することはできない。 しかし、更新時には最新の基準が適用される。 ここで差が出る。 --- 社会保険の問題 特に社会保険未加入は重大だ。 事業主は保険料の半分を負担しなければならないが、これは飲食店にとって重い。 しかし、病気や事故は誰にでも起こり得る。 未加入は本人にとっても社会にとってもリスクである。 かつては保険証の管理が甘く、使い回しの問題もあった。 現在はマイナンバーカード統合でハードルは上がった。 管理体制の厳格化は、ある意味で当然の流れでもある。 --- しわ寄せはどこに来るか 制度を整備すると、必ずどこかに歪みが出る。 - 労働目的は特定技能へ - 経営目的は本来の経営へ この線引きが明確になった結果、「在留維持型ビジネスモデル」が成立しにくくなった。 それがインネパ店に直撃している。 僕の感覚では、ここ3年ほどで急増した店舗のうち、かなりの割合が淘汰される可能性がある。 --- 外国人排斥ではない 誤解してほしくないのだが、外国の人が日本でレストランを営むこと自体は、僕は大いに歓迎すべきだと考えている。 地方は確実に人手不足になる。 外国人の存在は不可欠である。 問題は、制度を守らないことにある。 社会保険未加入や不透明経営は、結局本人たちをも不幸にする。 「角を矯めて牛を殺す」ような過剰な締め付けになってはならない。 しかし、ルールを守ることは前提である。 --- どんな店が増えているかは、どんな人が来ているかを示す ベトナム料理店が増えているのは、ベトナム人が多く働いているからである。 ネパールの人は、他業種よりもインネパ店で見ることが多い。 つまり、街の飲食店の風景は、日本の移民政策の鏡である。 --- 結びに 今回の問題は、「インネパ店が悪い」という単純な話ではない。 - 人手不足 - 国際批判 - 制度整備 - 運用厳格化 その交点に立っているのが、街角のインネパ店だったということだ。 僕は外国人排斥には反対である。 同時に、制度の適正運用も必要だと思っている。 この動きがどこへ向かうのか。 引き続きウォッチしていきたい。
2月13日
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